独学MBA14_統計入門2

1. 思考(クリシン・データ)
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今回の記事は、統計入門の続編です。

参考書籍

前回の参考書として選んだのは、このベストセラーです。

そして、今回学ぶのは、続編です。

今回もさらっと本書の内容を紹介するので、まずは頭の中に目次を作るイメージでお考えください。引用部分はいつもの通り『』で表します。

はじめに

リサーチデザインの考え方が紹介される。『リサーチデザインとは、研究者がどのように良い研究課題を考え、またその課題に対してどのような調査や分析を行うべきかを考えることである』とされ、本書ではビジネスマンのためのリサーチデザインの雛形が、4つのテーマの中で紹介される。

その中で分析手順の雛形が紹介されるが、アウトカム(『最大化したい/最小化したい値』)の設定、解析単位の設定、説明変数の選択、分析手法(自動的に決まる)の選択、分析と解釈、アクションという流れとなる。

①経営戦略

リサーチデザインの1つ目の経営戦略理論について、先人の研究をまとめる形で、2つのアプローチが紹介される。

一つ目は、ポーターによるSCP理論(Structure→Conduct→Performance)だ。これは企業の業績は、市場構造で大きく決まるという、外部の影響が強いという考え方だ(例: 5Force分析)。

二つ目は、リソース・ベイスド・ビュー(RBV)に代表される、企業の内側の強みに注目する考え方だ。つまり、外部環境<内部の強みである。

この2つのアプローチを統計学で比較した研究があり、内部の強みの方が業績に与える影響を持つ(業績の3〜5割)という結果の紹介がされる(業績のアウトカムとしてはROAが推奨されている)。

実際どうしたらいいの?ということで、『自社の事情に合わせて、経営学者の先行研究をカスタマイズする』方法が提案される。

具体的には、『1. 競争する市場の範囲と分析対象企業の設定、2. 分析すべき変数のアイディア出し、3. 必要なデータの収集、4. 分析および結果の解釈』だ。

また過去の文献調査を行う手法として、『システマティックレビュー』の考え方が紹介される。

若手研究者のためのシステマティックレビューの書き方指南

エディテージ・インサイト

②人的管理資源(人事)

リサーチデザインの手法の2つ目が人事だ。Googleの科学的エビデンスに基づいた採用方法が紹介される。次に、優秀な人間の確保ではなく、適材適所の人材を確保・配置するという考え方に、現在の経営学者の関心は移っているとの紹介がある。

Google re:Work について

Googleの研究結果がまとめられたページ

そして、『どのような状況ではどのようなリーダーが機能するのか』という状況適合理論が紹介される。リーダーは指示型、支援型、参加型、達成志向型の4つがパス・ゴール理論によって分類される。誰も気づいていない、「ある状況とその状況で力を発揮できるリーダー(or 従業員)」の相性を見つけることが重要である。

これらを踏まえて、分析のアプローチは同様に、『1. 分析対象の設定、2. 変数のアイディア出し、3. 必要なデータの収集、4. 得られたデータの分析、5. 分析結果の解釈』となる。

③マーケティング

次に、現代マーケティングの2つの戦略が説明される。『誰を相手にビジネスを営むのか』(セグメンテーションとターゲティング)と『その人たちに何をどう売るのか』(ポジショニングと4P)である。

こうした2つの戦略を策定する際に、データ分析を行う。分析のアプローチは同様に、『1. 分析対象範囲の設定、2. 分析すべき変数を含むデータ収集、3. 得られたデータの分析、4. 解析とアクションの考案』となる。

*参考記事

リサーチデザインとは?【考え方や流れについて徹底解説!】

KATODORI

④オペレーション

4つ目としてオペレーションの話が出てきて、『生産性を上げるために「バラツキによって示された結果」ではなく「バラツキの背後で影響する原因」に対処することができているだろうか?』という質問が投げかけられる。

また、『データを適切に集め、分析すれば企業のどのような領域でも生産性を向上させるための示唆が得られる』と、社内に眠る広大な改善の余地があることが指摘される。その際に、部分最適から全体最適へ、そしてボトルネックの解消という点が紹介される。そして各部署毎の適切な解析のために、バリューチェーンの考え方が出てくる。

分析手順は、アウトカムの設定、解析単位の設定、説明変数の洗い出し、解析実行と、今までと同様だ。

おわりに

最後に、「洞察のための分析」(記述統計学)「予測のための分析」(推測統計学)という、統計学の2つの側面が紹介される(本書は前者に焦点)。『「洞察のための分析」では、あなたの暗黙知が武器になる』と述べられるが、つまり各人が強みを活かせる部分はここなのであろう。

入門編に続いて、統計学のビジネスへの活かし方について学んだ。この2冊によって、統計学の基本的な考え方と概念はマスターできたはずです。

次の記事で、IEビジネススクールのデータ分析の授業を詳細に紹介します。