MBAのエッセンスを独学で学ぶカリキュラムをシリーズで紹介していますが、今回は、実際の企業のケーススタディを読み解いていく第2弾です。
今回の参考図書は、IEビジネススクールと一橋ビジネススクールの両教授が編纂した、グローバル化とその中でビジネスが果たす役割についての15のケースが収録された本です。
ここからは、自分のメモの要素が強くなりますが、大事だと思うこと、キーワードを中心に記していきます。引用部分は『』で表します。
Televisaのグローバル拡大
ここから、本格的なケーススタディに移行します。メキシコを本拠地にするスペイン語圏最大のテレビ局Televisaのグローバル拡大にがテーマです。
メキシコをベースとするテレビ局が、いかにしてスペイン語圏最大のテレビ局となったのか、どんな『Foreign Entry Strategies』を使ったのかについて紹介されます。該社はメキシコ、南米、そして米国のヒスパニック市場で拡大してきたが、近年では南米の経済成長は鈍化し、またトランプ大統領の影響もあり、課題も山積みである。
海外拡大戦略が3つ紹介される。
*戦略的提携(垂直提携、水平提携の両面)、JV、クロスボーダーM&A
Televisaが優れているのは、各国のメディア市場を理解した上で、上記3つの戦略を国ごとに組み合わせたという点だ。また、スペイン語圏という文化的背景の類似性をしっかりと活かしている点もGoodであると述べられる。
最後に、グローバル拡大のためには、国際環境、政治環境、経済環境、ビジネス環境と市場の変化に適応し、文化的・人口動態的な類似性をうまく活かす必要がある、と締めくくられる。
CAGEという、グローバル展開を考える時に自国と他国の違いを捉えるフレームワークも紹介されます(Culture, Administration, Geography, Economics)。
日本で展開している事業を海外に拡げる際、日本(自国)と他国との類似点・相違点を把握した上で展開する必要があり、CAGEはその際の調査項目を提示してくれるものです。海外への事業展開を考えている方はぜひチェックしてみてください。
引用元:https://www.kikakulabo.com/tpl-cage/
Technogymがウェルネスカンパニーとなるまで
次のケースは、イタリアのフィットネスマシーンメーカーのTechnogymです。ジムや家庭にフィットネスマシーンを提供するだけでなく、健康に関わるサービスを提供することで、「総合」ウェルネスカンパニーの地位を確立しています(ジムで見たことがある人もいると思います)。具体的には、『the Digital Transformation』を利用してビジネスモデルを再定義し、SmartでConnectedな製品の提供だ。製品とサービスの融合という点では、Appleに近い点がありますね。
高品質のフィットネスマシーンというコア製品を元に、ウェルネス関連のサービスを拡大してきた会社だが、会社のウェルネス総合カンパニーという戦略に沿って、スポーツ関連の会社や研究機関、そしてIBMなどとの提携をしっかりとモノにしてきた、ということらしい。
グローバルという観点では、海外売上高比率が90%とグローバル化に成功しているが、全世界に共通するコアバリューとローカライズの組み合わせが大きな要因とのことだ(ここでもCAGEという概念が出てきた)。海外展開は法規制、コンプライアンス、知財、顧客の嗜好が異なるなどの課題が多いが、それはグループの各国ごとの適切なオペレーションと製品ラインナップの拡充で最小化できると述べられている。
最後に、Technogymの成功は、フィットネス界におけるDigital Transformation(Connectivity, Wearable devices, Technology)を活用し、グローバル戦略を基にしたローカライズを実施し、そしてビジネスモデルを柔軟に変えてきたことによる、と締めくくられる。
Sempertexのグローバル展開(1→95ヵ国へ)
タイトルは、Sempertexのリーダーシップ、グローバルマインドセット、国際化という長々しいものである。中身を見ていきたい。
Sempertexはコロンビアが本拠地の風船メーカーである。ファミリービジネス(同族企業)の中で最もグローバル化に成功した企業の一つと言われる。
最初にGlobalization(グローバル化)とInternationalization(国際化)の違いについて説明がある。グローバル化は世界がつながっていく現象、国際化はグローバル化によってもたらされるチャレンジとアドバンテージに立ち向かうことだ。そして企業の国際化(特にファミリービジネス)において、リーダーのGlobal Midsetがとても大事ということだ。
Global Mindsetについての説明が長々と続くが、私なりにまとめると、グローバルにリーダーシップを発揮し、グローバルな文脈で決断ができることだ。言い換えると、『think and act both globally and locally at the same time』ということだ。また、国際化は『an intersection of entrepreneurship and internationalization』とあるように、新たな市場での挑戦という意味で、アントレの要素も入ってくる。
先ほどのTechnogymにも通じるが、Sempertexは製品を「バルーン」ではなく、「visual delights」と定義し、サービスを展開したことが面白い。
Sempertexを飛躍的に大きくしたのは2代目CEOだが、彼のGlobal Mindsetが大きく寄与している。彼はスペイン語とドイツ語のネイティブで、英語も独学で身につけ、20代でMBAを取得した。ここで説明が入り、Global Mindsetの養成には子供時代が大事で、複数の言語を話すこと、インターナショナルな環境に身をおくこと、多面的に世界を捉えることが重要だということだ。更には、(ビジネススクールが出版している本ということを考慮しつつ…)大人になってからはビジネススクールでのダイバーシティ体験は、Global Mindsetを身につける方法であり、グローバルなリーダーは、インターナショナルな環境に身を置きながら、常に学び続けているそうだ。
2/5のまとめ
本格的な企業のケースを3本読んだ。3つ目のケースを読み終えて驚いたのが、1つのケースの読み込みに30分、ブログ執筆に30分と、短期間で理解・まとめまでできるようになった。どちらかというと、スキミング・ザッピングで要点を把握する能力だろうか。日本語でグロービスの本を大量に読み、まとめてきた効果が現れてきた。