今回は、IEビジネススクールの必修授業で、ケーススタディに取り上げられた企業を紹介していきます。どんな企業が、どんな文脈で登場するのかを見ていきましょう。
はじめに
MBAの醍醐味はダイバーシティの環境で学べることですよね。さらにいうと、ケースや授業で扱う企業も世界中の企業です。世界中の企業について学び続けると、ある日こうなります。
今回の記事では、授業やケースで登場した企業名と、どんな文脈で取り上げられたかを紹介していきます。「独学MBAカリキュラム」に沿って企業を分類し、紹介していきます。
1.思考(クリシン、データ分析)
特定の企業は登場せず。
2.経営戦略
ストラテジー
この授業では現役のコンサルパートナーが担当し、毎回ケースを扱う上に、授業前にはケースについての1枚のレポート提出が義務付けられており、結構キツかったです。
シリアル業界: 米国のシリアル業界についてのケースで、KelloggやGeneral Millsなどの食品メーカーの競争や新規参入、ゲーム理論について学びました。
Walmart:米国の小売チェーンWalmartについて、競争戦略のうちコストリーダーシップに着目しました。このケースをもとに、戦略が学べるオンラインゲームを開発・提供しています。
クラウドコンピューティング業界:架空の企業が題材でしたが、Amazon、Microsoft、Googleなどがしのぎを削るクラウド業界について、特に政府や大口顧客との関係を中心に学びました。
Netflix:イノベーションや業界のライフサイクルについて、ビデオレンタルサービスを提供していたBlockbusterと対比しながら、Netflixの事業ドメイン転換、コンテンツ制作への進出について学びました。コンテンツ制作の文脈では、AmazonやDisneyなども登場しました。
Teva Pharmaceutical:イスラエルの大手製薬メーカーを題材に、Tevaのコスト戦略、ジェネリックと先発薬の違いと取るべき戦略について学びました。
Google:スマホOSのGoogle Androidを題材に、ネットワーク効果について学びました。対比としてAppleのiOSが当然出てきます。
McKinsey:コンサルティングファームのMcKinseyを題材に、地域軸と業界軸をどう組織としてミックスするのか、また人材育成についてディスカッションしました。比較として、BCG(Boston Consulting Group)も登場します。
Sprint:米国の携帯キャリアであるSprintを題材に、KSF(Key Success Factor)やCEOの決断についてディスカッションしました。買収に絡んで、SoftbankやT-Mobileも登場しました。
BP:英国のエネルギー関連事業を展開する企業を題材に、垂直統合、水平統合、規制産業についてディスカッションしました。
コーラ業界:Cola業界の構造(濃縮液やボトラーなど)について、Coca-ColaとPepciCoを題材に学びました。
オペレーション
ケースよりも理論を重視する教授でしたが、トヨタが具体例として登場しました。
Toyota:トヨタ生産方式が登場しました。米国や欧州の自動車メーカーも比較として出てきます。
AXA:フランスの保険金融グループを題材に、組織変革やプロジェクトマネジメントを学びました。
Shouldice Hospital:ヘルニア専門の病院を題材に、オペレーションについて学びました。
ステークホルダー
企業とステークホルダーについて考える授業です。Non-Marketということで、政府、NPO、アクティビスト、地域住民、国際機関といったステークホルダーとの関わりについて学ぶ授業でした。
Xstrata:オーストラリア政府の資源税の税制改革とXstrata(今は買収され別の社名に)という資源会社の戦いについて学びました。
Chiquita:中南米のバナナ生産・販売を取り仕切っている、米国籍の企業ですが、EUとのバナナ関税の争いについて学びました。
NIKE:1990年代に、ナイキが製造委託している工場で、長時間労働や児童労働が行われていることが判明し、不買運動が巻き起こったケースを取り上げました。
PepciCo:CSR(企業の社会的責任)について、ペプシコのケースを取り上げました。
Patagonia:環境経営をテーマに、パタゴニアについてディスカッションしました。
3.マーケティング
マーケティングは、ケースだけでなく授業中に大量の企業が登場します。多すぎて対応できないので、主だった企業を紹介します。
Amazon:エコシステムがテーマで、Amazonのエコシステムと競争力について取り上げました。
Swatch:スイスの時計メーカーの、ブランド戦略やマーケティング戦略について議論しました。
GAP:米国最大のアパレルメーカーについて、デジタルマーケティング、ビックデータの活用についてディスカッションしました。
IKEA:SNSマーケティングの上手な企業の例として登場しました。
Coca-Cola:STPとプロダクト戦略についてディスカッションしました。
Accor:世界規模で展開するホテルチェーンについて、ブランド戦略をテーマにディスカッションしました。もちろん比較として、AirBnBが登場しました。
Amazon:またまた登場です。スマートスピーカーの「Alexa」を題材に、デジタル時代のコミュニケーションについて学びました。
Mastercard:時代に合わせたマーケティング戦略の変遷について、ディスカッションしました。
Hubspot:インバウンドマーケティングがテーマでした。
4.アカウンティング
財務会計
財務三表について学ぶ授業です。理論や簿記などのテクニカルな部分が多いのですが、それでも実在の企業を使いながら学んでいきました。
Facebook:一番最初の授業で登場したのがFacebookです。財務三表の読み方や財務会計とは?という例で使われました。
Apple:IFRSをテーマに、iPhoneの売上の計上基準の変更についてディスカッションしました。
航空会社:Delta AirlinesとSingapore Airlinesをテーマに、減価償却やリース資産について学びました。
管理会計
実際に数字を計算したり、分析したりするので、数字が綺麗にまとまっている架空の企業のケースを使いました。
5.ファイナンス
こちらも理論が中心なので、企業のケースをガッツリ学ぶというのはあまりなかったのですが、現実のニュースにどう対応できるかという科目なので、Financial TimesとWall Street Journalを読むように、教授が勧めてくれました。
SAP:アンケートなどのSurveyのソフトウェアを提供するQualtricsを8B$で買収したケースでディスカッションしました。
Hertz:コロナの影響で破産したレンタカー会社ついても議論しました。
6.人事・組織
必修科目ではこの分野は扱いません。
7.テクノロジー
この授業は何百社という企業が取り上げられたのですが、毎回の授業で一番のメインだった企業をを紹介します。
GAFA:Google、Amazon、Facebook、Appleを抜きにしては、この分野は進みませんね。最初の授業でガッツリ4社の凄さと違いについてディスカッションしました。
BBVA:スペインを拠点にグローバル展開をする、BBVA(銀行)のデジタル戦略についてディスカッションしました。
Vocent:スペインのメディアが、紙媒体からデジタルへどのように転換したのかを学びました。
IKEA:この授業でも、ビックデータとSNSマーケティングの文脈で登場しました。
ByteDance:Tiktokで有名な中国のIT企業を取り上げ、AIについて学びました。
Grab:シンガポールに本社があり、配車アプリを提供しています。もちろんUberも登場します。
Tencent:米国がGAFAなら、中国はBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)です。プラットフォームがテーマの回で、Wechatを提供するTencentについて学びました。
SIEMENS:IOTと第四次産業革命がテーマで、ドイツの製造業のデジタル化について学びました。
DBS:シンガポールの銀行を取り上げ、デジタル化の成功例を学びました。
Domino Pizza:ドミノピザのデジタル化、オペレーションについて学びました。
Alibaba:決済をテーマに、ブロックチェーンの代表例として登場しました。
TopCoder:プログラミングのコンペを開催している会社で、オープンソース化の文脈で登場しました。
8.ソフトスキル
リーダーシップ
人に焦点を当てたケースが多く、特定の企業についてはあまり取り上げませんでした。
VolksWagen:ディーゼル不正問題を取り上げ、危機下のリーダーシップについて学びました。
9. アントレプレナーシップ
ここでは、スタートアップや投資家(創業者、VC)などが登場してきます。
マインドセット(Period1)
Y combinator:シリコンバレーのアクセラレーター(VC)です。Startup Schoolを運営しており、講義の内容が頻繁に登場していました。
AirBnB:アイディアを形にし、世界的企業までに登り詰める一連の流れを、Airbnbを題材に学びました。
Dropbox:リーンスタートアップがテーマの回で登場しました。
Apple:創業チーム、スタートアップの従業員をテーマに扱いました。
ビジネスモデル(Period2)
サーカス業界:サーカスの発展と、サーカス界の革命児であるシルクドソレイユをテーマに、バリュークリエーションについて考えました。
ICEHOTEL:創業者の人生と、スタートアップのリソース活用について考えました。
SpaceX:スタートアップのLegitimacy(正統性)について、イーロンマスク率いるSpaceXについてディスカッションしました。
ZipCar:ビジネスモデルがテーマの回で、米国カーシェア大手を題材に学びました。
3M:イノベーションの回で、大手企業ながらアントレプレナーシップをもち、イノベーションを次々と生み出す3Mを扱いました。
10.その他
特になし
おわりに
企業名を紹介してきましたが、ガッツリ取り上げられた企業を選んでいるので、実際は無数の企業が登場します。リスト化するのがすごい大変で疲れたので、今後少しずつ追加・修正していこうと思います。
企業名に加えて、授業の内容を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。