MBAのエッセンスを独学で学ぶカリキュラムをシリーズで紹介していますが、今回は、51_ファイナンスです。
今回の参考図書は、本当にわかりやすいです。ファイナンスを一通り理解したいならこの本がベスト。
元ミクシィCEO朝倉さんが著者で経営者目線。初心者〜中級者向け。ケーススタディが豊富。
ファイナンスとは?
まずは、この3つを理解しましょう。
1.ビジネスの分析は2つに分けられる
・定性的分析→経営戦略論
・定量的分析→ファイナンス
2.ファイナンス理論の体系
これはダイヤモンドオンラインの記事を引用します。
ファイナンスは、「インベストメント」と「コーポレート・ファイナンス」の2つに分けられます。
3.コーポレートファイナンス
企業は、投資家から資金を調達し、事業に投資。そして事業のリターンを投資家に返します。一部の資金は投資家に戻さず、再投資します。
ファイナンスの重要ポイント
上記3つの前提をもとに、話を進めていきましょう。
①事業の収益性
事業の収益性は、どうやってみるのでしょうか?アカウンティングの考え方だけは不十分で、ファイナンスの考え方が必要になります。ということで、ファイナンスを理解するのに重要な、キャッシュフローの考え方をみていきましょう。
フリーウェイ経理
②キャッシュフロー
事業の収益性はキャッシュフローで判断されます。キャッシュフローはアカウンティングでは見えない事業価値を明らかにし、リストラや在庫管理などの経営判断を可能にしてくれます。
キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分かれています。
③正味現在価値(NPV=Net Present Value)
まずは、現在価値(PV)を理解しましょう。キャシュフローを時間軸でみるのがPVである。簡単に言うと、将来手に入るキャッシュを、割引率という考え方を用いて現在の価値に計算し直し、判断することである。
NPV(正味現在価値)は、PVの考え方を用いて、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標であり、投資の意思決定をするために用いられます。
NPVを理解すれば、ファイナンスの基本はマスターです。なぜなら、ファイナンスに重要なキャッシュフロー、現在価値、資本コスト、最適資本構成、リスク&リターンという概念が全て反映されているからです。
*参考記事の解説が、丁寧でわかりやすいです。
M&A総合研究所
④リスク
ファイナンスにおけるリスクの定義は、予見できない「不確実性」です。そしてリスクの負担者は、バランスシートでいうところの資金調達先、すなわちDebt(負債)は債権者、Equity(株主資本)は株主となります。
⑤リスクとリターン
リスクは定量的に把握することができ、それによりリターンも決まります。数式が出てくる部分なので省略し、まずはリスクとリターンの定量化するという考え方を理解すればOKです。詳しく理解したいという方は、参考記事の「リスクとリターン その1〜3」をオススメします。
経営を学ぶ〜経営学・MBA・起業〜
⑥資金調達方法とWACC
資金調達方法は、負債(銀行借入、社債、コマーシャルペーパー)と株主資本(株式発行)の2つに分けられます。
資金調達ニュース.com
借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したものを、WACCと呼び、WACC以上の利回りをあげることがビジネスでは求められます。
グロービス経営大学院
⑦企業価値
企業価値とは、『会社の経済的価値』であり、『企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値』と定義されます。
企業の価値=資産(事業資産と非事業資産)の市場価値です。事業資産(コア資産)はNPVで計算し、非事業資産は時価で計算します。
次に多角化を説明する。多角化によって事業収益は安定するが、(株主にとっての)企業価値は変わりません。それに対してM&Aの目的は、シナジー効果、節税効果等を用いて下記を実現することです。
*M&A後の企業価値 > 買収社の企業価値+被買収社の企業価値
GLOBIS知見録
⑧財務政策
ここでは最適資本構成について考察される。つまりEquityとDebtの比率のことだが、『ファイナンス理論の一般的な見解としては、キャッシュフローが安全にコントロールできる範囲で借入を最大化せよ』というのが正解です。負債による節税効果を狙うという考え方です。
グロービス経営大学院
⑨オプション
少し難しいので飛ばしていただいて構いませんが、NPV(静学的)の限界をオプション(動学的)で乗り越える試みです。金融商品のオプションの考え方を事業評価に応用したのが「リアル・オプション」になります。
経営を学ぶ〜経営学・MBA・起業〜
⑩経営戦略とファイナンス
ビジネスの分析は、定性的分析(経営戦略)と定量的分析(ファイナンス)の二種類あるが、両者は密接に関わってくる。
企業が投資をするかどうか検討しているとしよう。3Cのフレームワークを使います。まずは顧客から分析を始め(市場が魅力的か?)、次に競合他社(他社の脅威はいかほどか?)を分析し、2つの分析からKSFを見出す。最後に自社分析だ(勝てるのか?KSFは手の内にあるのか?)。
3Cを踏まえた上で、オプションの視点(延期、拡張、切り替え、撤退、洗濯)とリスク分析を経て意思決定をするという流れになる。
おわりに(ゲーム紹介)
ファイナンスの基礎を一通り学んだ。ビジネスを定量的に捉えるファイナンスの考え方なくしては、適切な意思決定ができないですね。難しい数式が出てくるが、少なくともそれぞれの意味合いとポイントを押さえることが、まずは目指すべきゴールだと思います。
このたび、ファイナンスの基本を体感で学べる、対戦型オンラインゲームを開発しました。特に、コーポレートファイナンスに焦点を当てています。研修資料の一部を公開します。