今回は、思考の続編(クリティカル・コミュニケーション)です。クリティカル・シンキングを土台に、効果的なコミュニケーションについて考えたいと思います。
今回の参考図書
さて、今回の参考図書はまたもやグロービスです。
ここからは、自分のメモの要素が強くなりますが、大事だと思うこと、キーワードを中心に記していきます。引用部分は『』で表します。
前回の復習(クリティカル・シンキング)
クリティカル・コミュニケーションは、『客観的な視点で物事を正しく考えることができて、初めて効果的』となるとあるように、まずはクリティカル・シンキングについて復習しておく。
『クリティカル・シンキングの基本姿勢とテクニック』
4つの基本姿勢:『①目的は何かを常に意識する、②前提条件、置かれた環境に合わせて考える、③イシュー(論点)を踏まえたうえで、「考える枠組み」を考える、④問い続ける』
*③はフレームワークが有効で、④はWhy? So what? True?が有効
3つのテクニック:『①正しく論理を展開すること、②構造的にアプローチすること、③因果関係を把握すること』
*①は演繹法や帰納法であり、②はフレームワークを使用
①コミュニケーションの原則
まず、本書ではコミュニケーションが以下の7要素に分けて紹介される。
『目的、伝え手、受け手』(前提条件)
『コンテンツ、トーン、メディア、伝える状況』(組み合わせを考える=『コミュニケーション・パッケージ』)
各要素のポイントを紹介すると、
- 目的→立場と状況の明確化、具体化、受けての現状
- 伝え手→誰が伝えるか、自分自身のパワーとキャラクター
- 受け手→誰か?関心は?知識レベルや理解度は?予想される反応は?感情は?関係は?
- コンテンツ→ピラミッドストラクチャーを使う
- 伝える状況→What? When? Where? What order?
次に良いコミュニケーションについての考察がある。『目的を達成すること』と『コストパフォーマンス』が良いことだと説明がある。そしてコミュニケーションのプロセスとして、『準備→実施→フォローアップ』が繰り返される。
②伝達
『効果的なコミュニケーションの第一歩は、的確な伝達』であり、『有効な手段が、コミュニケーション・パッケージ』と紹介される。
先ほど紹介したコミュニケーション・パッケージは、『コンテンツ、トーン、メディア、伝える状況』である。パッケージを作る際に考慮すべきは、『準備→伝達→フォローアップ』という構造と、『動機付け→理解促進→理解』という受け手の理解プロセスである。
最後に効果的なプレゼンテーションとそのテクニックについて、紹介がある。
③説得
説得の『ポイントは、説得のレバー(琴線)』を見つけることと、自分自身の思いの強さを示すこと』と紹介される。
説得のレバーとは?
『感情(相手を説得のテーブルにつかせる)→規範+利得(合理的に説得することで、相手に納得してもらう)→説得』
*規範と利得は『必ずしもトレードオフでは』なく、『両者を高い次元でバランスさせることも可能』
次に自分自身の思いを伝えるという点で、説得力が関数で紹介される。
説得力とは、『思い(内発的動機)の強さ×相手の感情への配慮×相手の規範/利得への影響力×コミュニケーション・パッケージの整合性』
以上のように、構造的に説明があり、コミュニケーションは考えることと実践というのを改めて感じた。
④交渉
交渉上手な人は、『交渉の構造(メカニズム)を理解し、十分に理解したうえで、問題解決的なスタンスで交渉に臨んでいる』という点が異なる。
まずは交渉の要素として、『①関係者、②自分のミッション、③相手の感情や規範、④利害・争点』が把握すべき点だと説明がある。
*①の関係者の把握には、マッピングが有効
交渉の利害関係の把握に必要な概念として、『限界値、BANTA、ZOPA』が紹介される。
次に、交渉のプロセスは、『①交渉構造を把握→②相手の心象風景に立つ→③自分のミッションの確認→Win-Winの落とし所を探る』とされる。
最後に交渉の心理バイアスとして、『①不合理な固執、②係留効果(アンカリング)、③交渉の枠づけ(フレーミング)、④手に入りやすい情報、⑤自信過剰』が紹介される。
⑤コーチング
コーチングは上司→部下という視点で紹介があるが、実際は上→下だけでなく、下→上、上下関係がない場面でも有効だと思う。
コーチングの手段として質問が挙げられているが、質問は『組織の生産性向上に大きく効いてくる』(!)という重要なもので、質問のメリットとして『①考えることを促す、②コミュニケーションが活性化する、③答えを相手に言わせることでコミットメントが増す』という3点が紹介される。
そして、コーチングの質問の目的として、『現実に問題解決をする、部下の育成(問題解決力)、正しい意思決定を行う、部下の育成(意思決定能力)』に集約されている。
問題解決のステップとして、What?→Where?→Why→How?が挙げられる。そして問題解決のアプローチとして『評論家型と拙速型』の2つのタイプが紹介される。
⑥会議
会議もこれまでの章と同様に、構造化されて説明されている。
会議のプロセス(①〜③)
『①会議の前に意識合わせを行う(会議のゴール・イメージ・期待成果を共有する+参加メンバーの役割を明確化し共有する)』
『②会議を効果的に運営する(会議で何を実現するか(何を議論するか)を明確化し続ける+会議の内容を構造化する+タイムマネジメントを行う+意思決定をする)』
『③フォローアップを行う』
次に7つの会議ならぬ、7種類の会議が紹介される。
『①意思決定、②情報共有、③アイデア出し(ブレスト)、④意見交換、⑤参加者の考え方や意識の共有、⑥報告会、⑦儀式』
その後、細かいポイントやテクニックが紹介されるが、数が多いため省略する。
おわりに
今回は、クリティカル・シンキングをベースとした効果的なコミュニケーション方法について、グロービスさんを参考に(ほぼ丸写し‥汗)学んだ。コミュニケーションとは捉えづらい印象があったが、しっかり分類され、構造化された本だったので、自分の中でコミュニケーションを理解するためのマップができたことが収穫だ。今回の学びを実践に使っていきたい。
次は、現代人に不可欠なデータ分析について見ていきたいと思います。こちらはMBAの必修科目でもしっかり学ぶべき科目となっています。