MBAケーススタディ集を読んでみた(4/5)

MBAのエッセンスを独学で学ぶカリキュラムをシリーズで紹介していますが、今回は、⑨その他(ケーススタディ)の第4弾です。

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今回の参考図書

さて、今回の参考図書は、IEビジネススクール一橋ビジネススクールの両教授が編纂した、グローバル化とその中でビジネスが果たす役割についての15のケースが収録された本です。

ここからは、自分のメモの要素が強くなりますが、大事だと思うこと、キーワードを中心に記していきます。引用部分は『』で表します。15ケースは長いので、3ケースごとに5つの記事に分けます。

Unilab:Technologyを超えたイノベーション

地域がガラッと変わり、アジアです。対象はフィリピンNo.1製薬メーカーUnilabです。テーマはイノベーションで、イノベーションは企業をよりCompetitiveにするものでなくてはならない。製薬業界は参入障壁が高く、規制でガチガチに縛られているが、Unilabはイノベーションを起こすためのどのような仕組みを持っているのでしょうか?というのが本章の内容です。

Unilabは1945年に街角の薬屋として創業しましたが、1959年にはフィリピン最大の製薬メーカーとなっていました。2015年にはASEANでトップシェアを獲得しています。

Unilabの成長の原動力はイノベーションですが、イノベーションを育むのはどんな文化なのでしょうか。Unilabは非上場の同族企業であり、オーナーのリーダーシップの基、着実に拡大する分野と一気に集中して拡大する分野のバランスをうまくとっています。具体的には、『Mainstream Innovation』(コア分野に近いところで勝負)と『Market Insight Innovation』(顧客ニーズから事業を立ち上げる)の2つです。

まず、小さく速く失敗するというITベンチャーのような文化があり、3年で新事業を辞めたとしても失敗とみなされません。その失敗から学ぶことがとても多くあるのです。4年目以降も赤字が継続し、何も学べなかった場合に失敗となるのです。この制度があれば、誰もが挑戦しやすいですね。

新規事業では、仮説を立て実験をしますが、『Minimal losses and a maximum amount of learning』という思想のもと、どんどんチャレンジしていきます。他国への展開も同じです。まずはじめに、一部の製品をローカルで売り出し、ニーズを見るのです。現地で工場を建てて製品を製造する時でさえ、上記の小さく速く失敗するという発想があります。

カスタマーニーズから出発し、小さく速く失敗する方法は、大企業ではできないのでは?と思っていましたが、この企業の例は大変参考になりました。

LATAM Airlines Group:世界TOP10への道

次はチリ発祥で南米最大の航空会社LATAMがテーマです。1929年にチリ国営会社として創設され、1932年にはLANという名前に改称、1989年に民営化しました。TAMとの合併を通じて、LATAMという名前になりました。2017年にLATAMのCEOが、「グローバル化された世界では、企業は変化する環境に適応する能力を通じて、Differentiateしなければならない」と言ったが、まさにそうですね。

LATAMの過去の経緯は4つのフェーズに分けられます。

①『Transformation』:1995-2000の期間で、チリ国内の会社を3社買収し、1997年にはニューヨークに上場。

②『Regional Expansion』:ペルーに会社を設立し、アルゼンチン、エクアドル、コロンビアとビジネスエリアを広げた。

③『Efficiency』:利益率UPのフェーズ。オペレーションの効率化やコストダウンを実行。

④『Consolidation』:ブラジルの航空会社のTAMと合併し、LANとTAMでLANTAMの誕生。Joint Business Agreementsにより、他地域の航空会社との提携を進めた(One worldに加盟)。

本ケースからの学びはいくつかあるが、まずは国際化の過程で生じる異文化交流と衝突があり、各国で異なる戦略的決定をしなければならないということだ。次に、外資参入規制で100%の所有権を得られないこと、複数の会社統合の際には統合後のコストとベネフィットを(株主に対して)明確にしなければならないこと、国によって異なる規制が課題であった。

逆にLATAMのOpportunityとして、毎年7%で伸びる南米市場を支配しており、成熟市場の欧米の航空会社からは提携相手として非常に魅力的であることだ。

本ケースはわかりやすいテーマだったので、面白く読めた。

GM:Global化, Disruption and Sustainability

今回のGeneral Motors(GM)の記事はとても面白かったです。毎回ケースを読み始める前に、各企業のHPをサクサクっと見るのですが、GMのTOPページは車の会社なのに、ほとんど車の写真がなかったです。これが今のGMの現状を表していますね。

自動車業界はDisruptionの脅威にさらされています。しかも一つではなく複数。自動運転、電気自動車、ライドシェアなど。GMは言わずと知れたBic Companyですが、より小規模で、よりMarket-drivenな、より迅速で適応的な会社に変わろうとしています。

GMの歴史を見ると、1908年に創業、Fordの方が先に成功しましたが、ブランドごとに部門を分けるやり方を採用し、規模の経済を追い求めました。その頃のスローガンは「我々は車を作るというより、金を稼ぐ会社だ」というものでした。

当然壁にぶち当たり、1960年代の安全規制や燃費規制にうまく対応できず、1970年代後半のエコで小さい日本車にシェアを奪われ、大規模なリストラにも関わらず、リーマンショック後の2009年に破産し国営化されました(2013年に国営化終了)。

ここで1983年に発行されたハーバードビジネスレビューの記事が紹介され、グローバル化によって世界が同質化し、同じものをどこでも作れる規模の経済が重要という内容でした。実際どうだったかというと、グローバル化とローカル化のあいだ、「Think and Act, Globaly and Locally」という全世界の共通化と各国の事情に合わせたカスタマイズ化のバランスが重要になりました。

GMも当然世界中に工場を持ち、国の違い、文化の違い、規制の違い、新興国と先進国の違い、地理的な違いなどを乗り越えてきました。しかし、現在の「破壊的なトレンド」は、『Change what matters most』というようにゲームのルールすらを変えてしまいます。そして、今の自動車業界は、10年後のMobilityの未来が誰も予測できないという、何もかも不確実な状態に陥っています。GMの例では、GMはどんなビジネス(業界)にいるのか?どこが競合なのか?ハードウェアなのかソフトウェアなのか、両方なのか?といった質問に答えることが非常に困難なのです。

ここでいくつかの破壊的なトレンドが紹介されます。

①『Attitudes toward automobiles』:カーシェアやライドシェアなどの台頭で車の所有の概念が崩れています。

②『Connectivity and technologies』:車はネットワークでつながり、コンピュータのようにアップデートされ、人々の関心は技術の進歩に向かいます。

③『Electrified』:電動化。充電インフラや各国の規制にビジネスが影響されます。

これらの破壊的トレンドに対してGMはどのような手を打っているのでしょうか。一つは規模の経済からの脱却で、会社を小さくし、激動の環境に素早く適応できるようにしました。投資面では、Physical(生産)とDigital(技術やシステム)の両方に投資するハイブリッド(どちらに転んでも対応できる)の戦略で、研究面では、欧米だけでなくアジアも含めた全世界に、産学官のR&Dネットワークを広げています(変化に素早く適応できるため、ネットワークを張り巡らしている)。

また、100年の歴史を持つGMの官僚的でヒエラルキーな組織構造も乗り越えるべき課題です。

最後に振り返りとして、脅威にさらされるだけでは会社は変化できず、脅威に加えて、大胆なリーダーシップとビジネスの再定義(『What business are you really in?』)が必要(ex. 顧客が求めるのはドリルではなく穴)。また、Purpose Drivenな会社だけが新しく、持続可能なビジネスモデルやプラットフォームを作ることができる、で締めくくられる。

4/5のまとめ

前回の3社に続き、企業のケースを更に3社読んだ。3社とも大企業だが、環境の劇的な変化に適応しながら生き残りを模索しているという点では共通しています。特に最後のGMのケースなどは課題だらけで、CEOになれるとしても、正直なりたくないな〜と思ってしまうくらいでした(汗)。

MBAのエッセンスを独学で学ぶカリキュラムをシリーズで紹介していますが、今回は、⑨その他(ケーススタディ)の最終話です。 10...
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