MBAのエッセンスを独学で学ぶカリキュラムをシリーズで紹介していますが、今回は、②経営戦略(ビジネスプラン)について考えたいと思います。
さて、今回の参考図書も安定のグロービスです。
本書からの引用は、『』で表現しています。
ビジネスプランとは?
『企業、既存企業を問わず、ビジネスプランニング(計画立案)の基本は一緒』という考え方のもと、『成功する事業を、将来の運営も含めていかに構想すべきか』という点について、『新事業立ち上げにフォーカス』しながら、『戦略面、組織面、財務面』から考察した本になります。
ビジネスプランのフレームワーク
ビジネスプランは『事業の縮図』であり、『その事業に関して作成者が思考したプロセスが結晶となって残ったもの』になります。同時に、ビジネスプランは『資金調達手段、実際の計画書、マーケティングツール』であり、『仮説検証のための材料』でもあり、事業の指針にもなりますね。
ビジネスプランにおいて詰めるべき点は、主に4つあります
- ビジョンやミッション、経営理念
- 製品・サービス、ビジネスモデル、事業戦略、マーケティング、オペレーション
- 財務的な裏付け
- マネジメントチームやリーダー
もう少し細かく見ていくと、ビジネスモデルの構成要素は以下のようになります。
- サマリー(要約)
- ビジョン、ミッション、経営理念、事業目標
- 製品・サービス、市場/顧客
- ビジネスモデル、事業戦略
- マーケティング戦略、オペレーション
- マネジメントチーム
- 出資要件
- 財務状況および予測
- 補足資料
さて、重要部分をいくつかピックアップしましたので、詳しく見ていきましょう。
2. ビジョン・ミッション&経営理念
ビジョン・ミッション
『目的と規律でベクトルを合わせ、モチベーションを高める』というキャッチコピーで始まる。
ビジョンは『将来的にどんな企業になりたいか言葉で表したもの』と定義され、『事業の全体像を明確にする、事業展開の道標となる、ステークホルダーへの意思表示をする、社員の自立促進』ために必要だということだ。
良いビジョンを生み出す方法として、『やりたいこと、やれること、求められていること』というWill, Can, Mustのフレームワークが紹介される。ビジョン実現までの過程は、『ビジョン→ビジョンの具体化→経営戦略の立案・実行→ビジョンの実現』である。
経営理念
経営理念とは、『企業が拠って立つ信念や哲学、経営姿勢を表明したもの』)である。そして、『ビジョン⇄ミッション⇄経営理念⇄行動指針⇄組織文化⇄具体的な従業員の行動』という関係性が重要となる。
4. ビジネスモデルと戦略
この章は一番ページ数が多い(汗)が、まとめが秀逸だ。
ビジネスモデルと戦略は、『どのような事業をどのように行うか』であり、具体的には『どのような価値を、誰に対して提供していくのか、競合との違いはなんなのか、どの程度大きくなる市場なのか、競争は激しいのか、事業の成功のカギは何で、それに対してどのような打ち手が可能なのか、事業リスクをヘッジする仕組みはどうなっているのか、そして、製品・サービスや事業構造を競合が模倣することは容易なのか否か』である。
本章は、誰に・何を=市場と価値(セグメンテーション、ターゲティング、イノベーター理論、製品とサービス)、どのように儲けるか=ビジネスモデル(エイドリアン・スライウォツキーの23の利益モデル、デジタル利益モデル、事業経済性、外部とのコラボ)が前半部分である。
後半では事業戦略(事業特性、新規事業タイプ、ニッチ、分散型、革新型、)とマーケティング・オペレーション(コミュニケーション、営業戦略、オペレーションシステム)で紹介される。
6. マネジメントチームとリーダーシップ
『立案、実行するのは人、そして組織である』という点、事前にマネジメントチームの構想が必要だという点が述べられる。
マネジメントチームの構想時には、『事業戦略を実行するにはどうするのか、どのような行動が必要かをイメージ』し、『持っているべきコンピテンシー(期待される成果を実現するうえでの行動特性)』を洗い出し、『競争優位を生み出す重要なコンピテンシーは何か、組織内に保有すべきコンピテンシー』を検討する。
コンピテンシー以外では『どんな雰囲気の組織にしたいか』を考えることも必要だ。
チームが固まったら新事業リーダー(以下、リーダー)を決めるが、リーダーはマネジメントができる『経営者』であり、かつ『チームを引っ張る要』なので、利益責任を持ち実績を挙げた経験があれば最適ということだ。
リーダーに必要な条件は『自分を知る、環境と組織の変化を知る、自分の役割を変える、効果的なコミュニケーション』とのことだ。MBAのリーダーシップで一番最初に強調されるのが「自己認識」なので、自分を知ることは出発点だと思います。
メンバーに必要な要件は『新事業のビジョンやミッションと新事業リーダー個人への共鳴、強い意欲、適性、ケミストリー』とある。
最後にチームマネジメントという点から、『目的と価値観の共有、コンピテンシー、相互理解』を前提とした上で、『目標の共有→達成→共同達成感→相互信頼感→モラール→モチベーション→目標の共有』という好循環を生み出すのがリーダーの役割だと述べられる。
8. ファイナンス
新規事業の立ち上げという観点でのファイナンスが紹介される。
まずは予測財務諸表と予測キャッシュフローの作成、そして投資評価法(回収期間法、NPV法、IRR法)が紹介される。キャッシュフローシュミレーションでは感度分析、損益分岐点分析などが挙げられ、キャッシュ管理という点での、財務管理と計画が説明される。
事業計画のベースとなるのが財務計画で、3つの財務諸表(B/S、P/L、C/F)から成り立つ。その他入れ込むべき項目として前提条件リスト、売上高推移表、投資計画表、損益分岐点分析表、資金需要リスト、KPIが紹介される。
おわりに
今回は、ビジネスモデルの構成要素を体系的に紹介しました。
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