ビジネススクールで学ぶMBAカリキュラムは、「ハードスキル」と「ソフトスキル」の両面から、リーダーに必要な素養を身につけていきます。
実際にこうした高い次元での知識(=ハードスキル)と人間性(ソフトスキル)が試されるのが、経営の総合格闘技=M&Aと言われています。
この記事を読めば、M&Aの大枠をざっくり理解することができます。なぜなら、海外MBA留学経験者で年間100冊の本を読む私が、大量のインプットから必要な情報だけをわかりやすくまとめているからです。
M&Aの目的と成功の条件を見ていきましょう。今回の参考書籍はこちら。
M&Aの目的
M&Aの目的は、大きく4つに分けることができます。
①既存事業強化(業界再編)
市場のシェアを高めて交渉力を高めたり、スケールメリットを活かしてのコストダウン。今後の日本では、企業規模の拡大(裏返せば業界再編)がいたるところで実施されていくことになります。
②既存事業の周辺領域への拡大
既存事業の周辺領域の技術・製品を取り込むことで、強い事業をより強くしていきます。トータルソリューション、製品ラインナップの拡充などがよく言われます。
③グローバル展開
わかりやすい分野ですが、国内人口=市場の縮小に対応するために、海外進出による事業拡大を狙います。
④新分野の進出・シフト
新しい分野に進出することで、ポートフォリオの転換や新しい会社の収益の柱を育てていきます。
買い手の目線で解説してきましたが、売り手の目線では、成長のための資金づくり、ノンコア事業からの撤退、コア事業への集中などが目的として挙げられます。
M&A成功の条件
M&Aの成功の条件から、代表的なものを4つ取り上げました。ちなみに、M&Aは戦略フェーズ、ディールの実行フェーズ、統合フェーズ(PMI)の3つに分けられます。
①同じ担当者が戦略からPMIまで一気通貫で関わる
どの本でも、どのセミナーでも言われている内容です。実際にM&A戦略を立てて、案件買収に関わった人が自らPMIに関わる。こうした戦略と実行の一貫性がM&A成功には求められます。
②買収時のプレミアム(コスト)を見込んで成長戦略を作る
通常は、企業を買収するためにはプレミアムをのせた高い値段じゃないと買えません。こうしたプレミアムを回収するだけの成長戦略、シナジー戦略を描けなければ、買収はやめた方がいいでしょう。
③PMIで100日以内にやるべきことを決めてから買収する
買収後の統合フェーズ(PMI)は、一刻も早くシナジーを出すことが求められます。そのため、PMIを始める前に、100日プランという綿密な計画を持って現地に乗り込み、強力なリーダーシップを持って実行することが求められます。
④M&Aを経営ノウハウの一部にする
通常、M&Aのノウハウの蓄積には10年かかると言われています。適切な施策としては、社内にM&A専門部隊を設置し、過去のプロジェクトの全ての文書化することが有効だと言われています。
おわりに
私が参加したM&A入門セミナーで、「M&Aは結局コミットメントとアカウンタビリティに尽きる」、「ビジネスの総合格闘技でありまさに経営そのもの」という言葉がありました。
すなわち、MBAで学ぶ「ハードスキル」と「ソフトスキル」を総動員して取り組む分野、難しいがゆえに圧倒的な経験値が得られる、それがM&Aだと言えると思います。
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