こんにちは、MBA(経営学修士)のエッセンスを独学で学ぶカリキュラムを紹介しましたが、今回よりトピックごとに詳細に見ていきたいと思います。今日のテーマは「クリティカルシンキング」ということで、MBAの全ての科目の土台となる「正しく考える」ための方法を学んでいきましょう。
さて、本書の内容を紹介していきます(書籍からの引用は『』で表します)。
はじめに
クリティカルシンキングとは、『物事を正しい方法で、正しいレベルで考える』ための手段であり、具体的には、正しく思考するための姿勢(心構え)と論理思考の方法論(テクニックやフレームワーク等)の組み合わせです。「姿勢」と「方法」があれば、あとは練習で身につけて行くということですね。
3つの基本姿勢が紹介され、『目的は何かを常に意識する、自他に思考のクセがあることを前提に考えること、問い続けること』です。特にMBAのようなダイバーシティな環境では、思考のクセというより、思考の前提から違うことを考慮する必要があります。
次に3つの方法論が紹介されます。『①イシューを踏まえた上で、「考える枠組み」を考える、②正しく論理を展開する、③構造とメカニズムを把握する』です。
第一部『思考をまとめ、メッセージをつくる』
第1部では、論理的であるためには次の3点が必要だとあります。『①そもそも何を考え論じるべきか(イシュー)が正しく押さえられている、②イシューに答えるために問うべき論点(枠組み)が、漏れなく押さえられている、③イシュー・枠組み(問い)に明確に答え、適切な根拠で支えられている』です。
イシューについては、課題を解く前に課題を設定することが必要だという、イシュードリブンについて書かれた下記の本が有名ですね。
イシューを明確にしたあとは、論理の構造をつくるための「ピラミッド・ストラクチャー」を用います。
下から上に向けて「So what?」と問いかけることで最終的なメッセージを抽出し、上から下に向けて「Why? True?」と問いかけることで論理が成立しているかチェックします。そして必ず一番下は、データ(or ファクト)となります。
ポイントは、2段目の根拠をいかに重要な論点をあぶり出すかということです。3Cや4Pといったフレームワークを使いながら考えるのも重要ですが、自分の頭でフレームワークを作り出すことも重要です。
さて、イシューを設定し、論理展開をピラミッドストラクチャーによって実現するところまできましたが、そもそも論理展開とは何でしょうか。
論理展開とは、『1つの結論を言う場合に、「なぜ、その結論が言えるのか」を示す、事実や前提の組み立て』であり、演繹法と帰納法の2つを用いて、一つ一つ論理を積み上げていくことです。
第2部『状況を分析する』
第2部では、『複雑なビジネスシーンを正しくとらえるための思考技術』としての分析方法について、主な概念や視点について説明があります。分析は2ステップで行うが、『分析対象の「(現在の)状態」を正しく把握』し、『その状態に影響を与える要素を紐解く』という流れとなります。
現状把握は、まずMECEで『要素を分解』することから始まる。次に『分析対象を多面的にとらえる』ことで、大事なポイントを抽出していく。その際に着目すべきは、『①全体の構成と、構成要素のバラつき度合いを把握する、②インパクトの大きさを考える、③比較して、差分を見つける、④法則性と特異点・変曲点を見つける』である。
上記のように要素を分解し、ポイントを見つけることが必要だが、「因果関係」を把握することも必要だ。因果関係の把握は、特に問題解決において重要な思考技術となる。
因果関係とは、『①時間的順序が正しいこと、②相関関係が存在すること、③第3因子が存在しないこと』の3点のチェックが必要だ。
因果関係の把握のゴールは、因果関係を矢印でつないで構造化することだと書いてある。ステップとして、『①考えられる要因を具体的に洗い出し、②原因をさらに問い続け、③因果の構造をとらえ』ていく。
しかし、ビジネスの世界では因果関係の100%の証明は難しく、『類推・推量にも頼りながら、80%程度の証明を目指すほうが効率的』とも述べられている。
補論『仮説と検証』
最後に『仮説と検証』が解説されています。仮説とは、『あるイシューに対する仮の答え』と定義されており、やはりイシューの質が仮説を左右しますね。先ほどの図でいうところの、結論と根拠部分が仮説になるということです。
仮説・検証のステップ:『①イシューと枠組みから問いを考える、②問いに関して仮説を立てる、③仮説を検証するためのデータを探す、④-1共通項のくくりをより具体的に絞り込む、④-2因果関係を明らかにする』
この際に、最初はざっくりとした仮説・検証から入り、次第に具体的な仮説・緻密な検証を行うのがスピードアップにつながるとのことです。仮説・検証にピラミッド・ストラクチャーは大いに役に立ちます。
常にイシューを意識しながら、オリジナルの仮説を作っていくことが重要ですね。
おわりに
本書を理解したのちは練習あるのみですね。特に自分では思いつかない視点を手に入れたり、フィードバックを受けることができるという点で、ディスカッションはとても重要です。
次の記事は、クリティカル・シンキングを土台に、現実の問題について考えていきましょう。