今回は、IE Business SchoolのPeriod1で学ぶマーケティングの授業を紹介します。全員が受講する必修科目で、マーケティング初心者がマーケティング戦略を立案、意思決定、実行できるようになるための基本的な知識を学びます。
この記事を読めば、MBAのマーケティング授業の内容を予習、あるいは独学で学ぶことができます。
実際に授業を受けた私が、授業内容に加えて、教授のコメントや議論、参考書籍などを紹介していきます。
授業の目的
徹底的な分析(リサーチ)に基づいて、マーケティング戦略を立案、意思決定、実行できるようになること。具体的には、下記の2つに集約されます。
- 分析から実行までのマーケティングプロセスの理解
- マーケティングコンセプト(STP)とマーケティングミックス(4P)の理解
参考書籍として紹介されたのは、定番のコトラーでした。
カリキュラム
7つのパートに分けて紹介していきます。マーケティングの基礎が幅広くカバーされています。
1_全体概要
マーケティングとは単なる広告やセールスではない。顧客のニーズやターゲットを特定すること(STP)、そしてターゲットにバリューを届けるため、の適切なプロダクトを、適切なチャネルで、購買をモチベートする適切なプロモーションで、適切な価格で提供すること(4P)である。というような話で、1回目の授業が幕を開けました。
このように、「売れ続ける仕組み」を作るのがマーケティングの基本です。
NEC
まずはニーズ、ウォンツ、デマンドの違いを押さえましょう。
ビジネスの教科書
ニーズを押さえたら、競合との違いを作り出す必要性が述べられ、そのための方策としてSTPが紹介されます。
帝国データバンク
そして、顧客にバリューを届けるためのマーケティングの実行段階の戦略として、4Pが紹介されて初回の授業は終了でした。
innova
ニーズの特定→ターゲット(STP)→実行(4P)の流れです。初回の授業から内容が濃いですね。
2_顧客の行動と購買プロセス
前章で、マーケティング全体の流れを学びましたが、次に顧客をテーマに考えます。
①なぜ顧客の行動を理解するべきなのか?
顧客の行動を予測し、自社の販売プロセスを顧客の購買プロセスにフィットしたものに変えていくためです。顧客体験・顧客のエンゲージメント(関わり)を向上させることが、リピーターになってもらえるかのポイントですね。
②何を理解すべきなのか?
フェーズを理解しましょう。購入前、購入時、購入後の3つに分けて、顧客の体験と行動を理解して、適切な打ち手を考えましょう。
顧客の意思決定のフレームワークを理解します。
- Cognitive vs Emotional(理性 vs 感情)
- High-involvement vs Low-involvement(買うという体験が重要 vs 日常の買い物)
- Optimizing vs Satisfying(オトク vs 満足)
- Compensatory vs Non-compensatory(色々な機能を総合的に判断 vs ある機能が欲しい)
このように、意思決定はどんな製品を買うか、顧客の状況や志向などによって変わってきます。
3_プロダクトマネジメント
顧客の次は、プロダクトついて見ていきましょう。プロダクトには3つの層(構成要素)があります。Core product、Actual product、Augmented productであり、Coreとなるベネフィットは何かを最初に考えることが必要です。
Synapse Consulting
次いで、プロダクトミックス(製品ラインナップ)の考え方を押さえましょう。
マーケターの思索
最後に、プロダクト戦略で押さえておくべき3つの重要な考え方を理解してこの回は終了です。
GLOBIS 知見録
作戦会議室 for Biz
GLOBIS 知見録
4_ブランド
プロダクトの次は、ブランドマネジメントについて考えてみました。
①ブランドと価値
まずはブランドとは何かを押さえましょう。
BOXIL
②ブランドエクイティ
ブランドは資産としてB/Sに計上する考え方です。
グロービス経営大学院
5_プライシング
4Pの一つであるプライシングは、企業の収益性にダイレクトに直結する重要ポイントです。
Electiveの授業でPricing Strategyの授業を受けました。損益に対するインパクトが大きい割りに、十分に理解されていない価格戦略について知りたい方はぜひ!
6_コミュニケーション
顧客とのコミュニケーションは、広告を入口に、リピーターとの定期的なコミュニケーションまで続いていく、重要なポイントです。
①マーケティングファネル
ここでの目的は、多くの人に認知(Awareness)してもらい、購入を経て最後には熱狂的に支持(Advocacy)してもらうことです。現代では、プロダクトを露出していくだけでなく、Engagementがとても重要になってきます。
②コンテンツマーケティング
現在では、コンテンツをマーケティングをする企業側が作り出すだけでなく、ユーザー自身がコンテンツを作り出す割合が増えてきましたね。コンテンツマーケティングには、PESOのフレームワークが非常に重要です。
トリプルメディアとは何が違う?メディア戦略に欠かせない「PESOモデル」を徹底解説
③インバウンドマーケティング
最後にインバウンドマーケティングを理解して終了しましょう。インバウンドマーケティングとは、コンテンツをWebで公開し、検索やSNSで共有・拡散される取り組みによって、潜在顧客に見つけてもらい、自社やプロダクトに興味を持ってもらい、購入へとつなげる手法です。
innova
おわりに
マーケティングについて基礎的な内容をまとめました。授業ではケースを使いながら議論をし、試験やレポート、プレゼン課題を隙間なく与えることで身体に叩き込みます。
一番最初にコトラーの参考書籍を紹介しましたが、従来のマーケティングと現代のマーケティングでは色々と異なる部分が出てきています。常に最新版にアップデートする努力が必要ですね。
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Amazonに代表されるデジタルマーケティングについては、こちらの本がわかりやすくてオススメです。
デジタルマーケティングについては、別途記事をまとめています。