20代で読んでおくべき、思考力を磨く本 ”10選”

1. 思考(クリシン・データ)
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今回は、エレクトロニクス関連のメーカーに勤務する、Toshiさんのインタビュー記事です。

Toshiさんは10年以上に渡って、経営企画、事業企画、マーケティング企画として活躍されており、プライベートではファシリテイターの資格を持っていたり、趣味の読書を極めて読書会を開催していたりと、大変アクティブな方です。

そんなToshiさんに、ビジネスで重要な「思考力」をつけるために、参考になった本を紹介していただきました。特に、20代の頃に読んでてよかった本、読むべきだったなという本をまとめてくれています。

とんでもない量の本を読む方なので、10冊を選ぶのは大変だったそうですが、そんな厳選された本をお楽しみください。MBA関係者に限らず、全てのビジネスパーソンの参考になる記事です。それでは、はじめましょう。

1.「ない仕事」の作り方

私が尊敬するみうらじゅんさんの本です。みうらさんは、世の中に「ない仕事」を、企画から営業、接待まで全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきました。そんなみうらさんの仕事のやり方を解説してくれています。

私は経営企画、事業企画、マーケティング企画と、まさに企画屋としてキャリアを歩んできました。企画屋は、比較的フリーハンドの仕事が多く、自分で何をやるのかを決めなければいけません。そんな時、仕事の心構えや、何から始めるかを考えたり、仕事の面白さを見つけたりするための原典として、何度も読み返している本です。

本の中身を少し紹介すると、仕事には自分をなくしていくプロセスがあり、本当に仕事に没頭した時は、自分はどうでもいいという状態になっています。今の時代、自分ブランドという言葉が流行っていますが、大事なのは自分ではなくて、サービスや製品、成果であるということです。そんなことを考えさせられる一冊です。

2. 思考のレッスン

知識人の最高峰とも言える丸谷才一さんの本です。そういうと難しく感じますが、編集者と著者の対話形式で書かれている本なので、気軽に読めると思います。

この本は、「本の読み方の本」、「本の向き合い方の本」です。個人的に印象に残ったのが、「読書って快感。読んでて快感を得ることが一番重要」「本なんか好きに読めば良い。人からのおすすめ本より、自分の本能や直感に従え」という内容です。

注意点があって、「本は好きに読めばいいんだけど、どんな本が読みたくなるかにおいて賢明になれ」ということです。自分の置かれた状況によって、あるジャンルの本を読みたくなることがあります。例えば、私が事業企画のときは、戦略系の本が読みたくなりました。オススメは、本屋に行って、自分がどんな本を手に取りたくなるのかを、チェックすることです。

薄い本なので読みやすく、手にとってもらいたい1冊です。

3. アイデアの99%

この本のメッセージは、「アイデアを出したり、言うだけならは誰でもできる。こうしたひらめきは、1%に過ぎず、実際に形にしたり、世の中に出さないと意味がない」です。

この本で紹介されている、Todoを5つに分類するというやり方は、今も私は活用しています。

  • テンポラリー(来た仕事は全部ここに一旦入れる)
  • バックバナー(後回し)
  • アクションステップ(今取り掛かっているもの)
  • リファレンス(よく参照するもの、プレゼンのテンプレなど)
  • フィニッシュ(終わったもの)

アイデア自体は価値がない=仕事は完了させないと意味がないということで、やるべきことを明確にしていくための方法が書かれています。

4. なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?

人生はピッチだ」ということで、営業は教えられないという内容です(MBAでは営業はカリキュラムに入っていません)。営業とは、「自分の思いを伝えて、相手に行動してもらうこと」であり、営業であろうがなかろうが、どんな仕事にも当てはまる内容ですね。

5. Personal MBA

独学でMBAは学べる」というのが筆者の主張ですが、「MBAは独学で学べる部分もあるよね」というスタンスで読むのがいいと思います。

MBAで学ぶような各項目がコンパクトにまとまっていて、MBAの全体像を楽しく掴める本だと思います。そういう意味で、「スペインMBA留学ナビ」の人気シリーズ、「独学MBAカリキュラム」と発想が近いですよね。個人的にはファイナンスの章が面白かったです。

何かをマスターするには、知る→理解する→使えるというステップが必要ですが、この本をMBAのとっかかりにしてはどうでしょうか。

6. ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 大型本

大学の教科書にもなっている、世界中で人気の本です。ビジネスモデルを9つの要素に分解し、顧客、販売チャネル、パートナー、収入の流れ、原価構造などを、深いレベルで理解できるようになっています。

私が言いたいことは、世の中の見方がたくさんあって(この本だと、ビジネスモデルを9つの要素に分解するという手法)、自分にフィットするものを見つけましょう。こうした型を身につけて、自分なりに応用していきましょう。ということでしょうか。

7. トリーズの発明原理40

タイトルは少しとっつきにくいですが、中身はとってもわかりやすい本です。

冷戦時代には、米ソが宇宙開発競争をしていました。膨大な資金と人を投入して開発した米国に対して、ソ連はそれほど資金がないにもかかわらず、米国と互角に戦うことができていました。その理由がこの本に書かれています。

詳しく説明すると、ソ連の特許局に勤めていた人が、膨大な特許リストから法則を見つけたのです。矛盾する2つのパラメータ(トレードオフ)に着目し、矛盾するパラメーターを同時に解決する法則を表にしました。

この本は、その法則をビジュアルでわかりやすく説明してくれています。研究開発に携わる人はもちろん、事務屋さんあるいは日常生活にも使えるヒントが満載の本です。

8. イシューからはじめよ

これはビジネスパーソン必読の本で、説明がいらないほどの名著です。「問題をどうやって解決するか」ではなく、「何の問題を解決するのか見極める」の方が100倍大事、それが生産性に非常に大きく影響する、という内容ですね。同じ筆者の「シン・ニホン」もオススメです。

9. 「クリエイティブ」の処方箋

世界中のクリエイターのエピソードが、それぞれ短くまとめられており、どこからでも楽しく読める本です。完全に気分転換の本で、自分はクリエイターじゃないという人に読んで欲しいです。行き詰まった時に発想を転換するためのヒントや、クリエイティブになるためのテクニック集という側面もあります。

10. ジョブ理論

こちらも全てのビジネスパーソンが必読の本でしょう。顧客が「ある商品を購入する」ということは、「その人が片づけるべき仕事(ジョブ)を解決するためにその商品を雇用する」ことである。そのジョブを特定することが何より大事だということで、イシューからはじめよと切り口が似ていると思います。

私は製造業で働いていますが、メーカーの人でもどんどんジョブ理論的に働く必要があると思いました。

最後に一言

iPhoneが定期的にアップデートをするように、世の中には完成されたものはありません。そんな中でも、長い年月をかけて残ってきた「型」というものがあり、そうした型をベースにしなやかに、フレキシブルに生きていくことが大切だと思っています。こうした「型」を身につけるのに読書は最適で、そんな本を10冊選ばせていただきました。

今回の記事が、みなさまの参考になれば嬉しいです。

Sun
Sun

貴重なお話ありがとうございました。