IEではコロナの影響もあり、今年の7月末から8月末にかけて、サマープログラムが開講されています。ポストコロナの世界をテーマに、イノベーション、リーダーシップ、DXといったテーマを短期集中で学んでいます。今回はその中の「Effective Presentations Design」について紹介します。
プレゼンの悲しい現実と失敗
多くの人が陥ってしまう、プレゼンの現実と失敗事例について学びました。
プレゼンの悲しい現実
プレゼンを聞いている時は感じているのに、プレゼンをする時は忘れてしまう、悲しい現実がこちらです。
- 聴衆はスライドをちゃんと読んでいない
- 聴衆は内容を覚えていない
- 聴衆は集中していない
- 聴衆は興味・関心をすぐに失う
マイクロソフトの調査によると、人間が集中できる期間は8秒であり、金魚の9秒より短いという結果が出ています。このため、あの手この手で、聴衆を引きつけることが必要ですね。
プレゼンの失敗
プレゼンの厳しい現実に対して、やってはいけないNG集です。多くのプレゼンターがやりがちな内容ですね。
- 情報が多すぎる
- 何が言いたいのかわからない
- 文字が多すぎる
- 文字のサイズが小さい
では、聴衆を引きつけるプレゼンをするにはどうしたら良いのでしょうか。詳しくみていきましょう。
解決策
先ほどの悲しい現実と失敗に対応するためには、どうしたら良いのでしょうか。デザインと構造(Structure)の2つの観点から見ていきましょう。
デザイン編
聴衆はプレゼンを読んでいない、覚えていない、興味関心を失うのであれば、とにかくシンプルにして「一番伝えたいことだけを伝える」ことにしましょう。そのためのポイントがこちら。
- 視線の動きを理解する
- 認識できるのは5つまで
- コントラストと比較を使う
- レイアウトに注意する
- 感情を揺さぶる
1. 視線の動きを理解する
人間の視線の動きを理解し、それに合わせたデザインにしましょう。代表的なのがZの動きですね。
また、人の目線の先に、注目させたいものを配置するというテクニックもあります。
他にもいろいろな視線の動きがあるので、こちらの記事でしっかりと押さえておきましょう。
REBCO
2. 認識できるのは5つまで
人間がパッと見で認識できるのは5つまでです。タイトルも含めて、5つ以内に収めましょう。
具体例として「オペレーションゲーム」のスライドから持ってきましたが、このスライドではタイトル、メッセージ、5つのポイントがあり、合計7個なのでアウトです。
5つ以下に収めるために、2枚のスライドに分けてみました。
視線のZを意識して右下に重要ポイントを持ってきて、さらには文字を大きく、ビールのアイコンを置くことで視線を誘導しています。
このように、重要ポイントを頭に残してもらうということが大事です。
3. コントラストと比較を使う
コントラストと比較も、強調する時に使える有用なテクニックです。
コントラストについては、色のコントラストに注目しましょう。
プレサポ
コントラストと比較をうまく使った例です。
4. レイアウトに注意する
色々とルールがありますが、1/3ルールをまずは押さえておきましょう。全体を9分割し、各線の交点に強調したいモノを配置します。
5. 感情を揺さぶる
写真などを利用して感情(喜怒哀楽)を表現することにより、伝えたいメッセージを印象付けることができます。
構造編
スライドデザインの次は、プレゼン自体の構造に注目し、伝えたいことを強調するテクニックを見ていきましょう。
- 最初と最後で印象付けよう
- 聴衆の注意を引きつけるには
- 構造化しよう
- 比喩を使おう
- 実物を使おう
1. 最初と最後で印象付けよう
「人の集中力は8秒しかもたない」というように、見せ場をたくさん持ってくるべきですが、重要なタイミングがあります。それがプレゼンの最初と最後。
最初の1分で聴衆の心を掴めるかが勝負です。ここでミスると、大変です。しかし、プレゼン終盤で聴衆を引きつける魔法のワードがあります。それが「要約すると〜、本日のまとめは〜」という、今から要約しますアピールです。この言葉を聞いて、ハッとした経験は皆さんあるのではないでしょうか。
2. 聴衆の注意を引きつけるには
プレゼン中に使えるテクニックが以下の5つです。
- 問いかける(Question)
- 事実を示す(Fact)
- ストーリー
- 引用(Quote)
- 想像させる(Imagine)
観客に参加してもらう仕掛けが重要ですね。
3. 構造化しよう
とにかく構造化して、わかりやすくしましょう。よく使われるのがピラミッドストラクチャーです。
コツは上段から説明することです。下記の図でいうと、「サポートメッセージはA、B、Cの3つです」と同じ段のものを説明してから、「Aについては、Fact①、②であり〜」というように下に降りていきましょう。
4. 比喩を使おう
比喩はわかりやすく説明するためのテクニックですね。必要に応じて使いましょう。
5. 実物を使おう
人間は、「スライドよりも実物に注目する生き物」です。製品などの実物を見せることで聴衆の注目を集めましょう。どんなすごいスライドより、実物のインパクトは大きいです。
その他Tips
最後に、4つの表現方法が紹介されました。場面ごとの目的に応じて、使うべき手法も変わってきます。
目的 | Remind | Impress | Explain | Prove |
手法 | テキスト | 画像 | 図 | データ |
おわりに
教授からは、「プレゼンの構成を考える時に、パワポは絶対に使うな」と強く言われました。プレゼンの目的、対象、構成を考え抜いてはじめて、作成に取りかかることができるのです。
スライドの作成する際やプレゼンテーションを実施する際に、今回の記事で紹介したテクニックが参考になれば幸いです。
プレゼンの準備から発表までの流れをまとめた記事はこちら
IEのサマープログラム全体の記事はこちら