MBAの醍醐味であるケーススタディ。留学前に、不安な方も多いと思います。しかし、ケースとはどういうものなのかを事前に学べば、恐れることはありません。そんな悩みにお答えするため、ケースの読み方がわかるシリーズを作成しました。
今回のシリーズでは、Vol.1(イントロ)、Vol.2(本編)、Vol.3(解説)と、ケースを実際に読みながら、ケースについて一連の流れを知ることができます。
ケースメソッドとは?
ハーバードビジネススクール(HBS)が有名ですが、「ケース」と呼ばれる、ある個人や組織の特定の課題について書かれた10数ページの教材を使って行われる授業です。
事前にケースを読み込んで授業に参加し、教授はファシリテーターとして、「あなたがケースの主人公だったらどうしますか」ということを学生に徹底的に考えさせるように、議論をリードしていてきます。
*ケースメソッドについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を先にどうぞ〜
ケースを読む前に
ケーススタディとは?
まず最初に、ケースの3つの特徴を紹介します。
主人公の立場で意思決定
ケースでは主人公になりきって、自分ならこうする!という意思決定が求められます。さらには、自分の意思決定を、意見+理由+具体例の3点セットで、的確に説明することが必要です。在学中には100〜数百本のケースを読むと思うので、大量の意思決定を擬似体験することができます。
ケースは事実しか書かれていない
これは意外に知らない方も多いかも知れませんが、ケースには事実しか書かれていません。言い換えると、ケースを作るときに製作者の解釈が入ってはいけないのです。なので、ケースではファクトをまずは押さえ、自分なりに解釈していくことが必要になります。
問題を設定し、解決策を策定する
ケースの予習のゴールは、問題を設定し、解決策とアクションまで落とし込むことです。主人公の抱える問題を特定することが何より重要です。
ウォルマートのケース
ウォルマートのケースを読んでいきましょう。授業で扱ったケースをもとに、私がオリジナルで作成したものです。ケースを読むときは、まず最初と最後の段落を確認しましょう。
ケース冒頭
1992年、ウォルマート創業者のサム・ウォルトンは、大統領自由勲章を受章するという知らせを受け取った。「ずっと競争だったな。ここまで、長い道のりだった…。」と、彼は過去を振り返っている。彼の人生は、「世界一の小売チェーン」と共にあった。
ケース最後
サムは長い回想のあと、部屋で一人つぶやいた。「小売業界で勝ちづけるのは本当に難しい。小売業界のKSFとは、何なのか?ウォルマートの競争優位性は何か?競争優位性は維持できるのか?次にやるべきことは何か?こうした問いを考え続けなければいけない」。
今回の課題は、「小売業界のKSF、ウォルマートの競争優位性」を特定し、「競争優位性を維持する」ための解決策(戦略)とアクションプランを考えることだとわかります。
実際にケースを読んでみよう。
では、はじめましょう。日本語なので気軽に読んでみてくださいね。