IEビジネススクールに留学中のSunです。2020年1月に入学したのも束の間、COVID-19(コロナウイルス)の影響で3月にロックダウン、そして一時帰国をすることになりました。そこで今回は、スペインでコロナが流行り始めてから、授業のオンライン化、ロックダウン、一時帰国までの顛末をまとめてみました。
*コロナ自体についてのコメントや医学的見解は全く言える立場にないので、そこは触れません。この記事では、コロナの影響によって、授業や生活がどうなったのか、帰国までどういうことを考えて行動したのか、個人の経験談を述べたいと思います。
楽観ムード
欧州では、最初にイタリアでコロナウイルスが流行しましたが、私自身や周囲もあまり気に留めていませんでした。実際、3/7-8の週末にグループ旅行に出かけている同級生がたくさんいましたし、3/8(日)にはスペイン全土で530万人が参加したゼネストが行われていました。
突然の学校閉鎖と授業のオンライン化
3/9(月)の夕方に、学校からマドリードの学校が2週間休校になる可能性があると連絡があり、その日の夜に首相がテレビ演説をし、3/11(水)からの学校閉鎖が発表されました。
IEも当然ながら閉鎖対象なので、授業が完全オンラインになりました。その日は、食料の確保のため、スーパーに買い出しに行きました。また、クラスチャットが炎上していたのを覚えています。
実はIEはコロナの拡大に備えて、3月頭から全ての授業がオンラインでも配信され、一部の人はオンラインで受けていました。オンライン授業のためのIT関係のオリエンテーションも受講済みで、スムーズに移行しました。
ロックダウン
学校の閉鎖が決まったのも束の間、3/14(土)から15日間のロックダウンが発表されました。レストランやカフェなど店舗が閉鎖、外出に関しても、仕事、スーパーや薬局、医療機関の受診など一部の例外を除いて禁止されました。緊急事態宣言が解除されたのが6月下旬なので、3ヶ月間は国中が厳戒態勢にありました。
私はスペイン語がほとんどできず、スペイン語での一連の発表は理解できないのですが、現地在住の日本人の方が、通訳をしてチャットで概要を流してくれていました。また、学校からの連絡、日本人ネットワーク、外務省からのメール、スペイン語圏のクラスメートから情報を得てました。
スーパーは一時的に品薄になりましたが、1週間程度で落ち着きました。また、外食産業はお店を開くことができないため、すぐに日本人ネットワークで、日本食レストランのデリバリーの案内が流れてきました。
追記:3/30より、食料品店や薬局、金融機関などの仕事以外では、通勤は認められなくなり、ロックダウンが一層厳しくなっています。
NHK
ロックダウン中の勉強
ロックダウンが開始されてから帰国まで2週間自宅で過ごしましたが、実はものすごく多忙でした。なぜなら、授業は毎日2〜3コマ継続されていましたし、Period1の期末と重なっていたため、ほぼ毎日試験やレポート、プレゼンをしなければなりませんでした。
授業に関しては、オンラインMBAで世界有数の学校でもあるので、最低限の質は担保されているという感じです。とはいえ、私達はFace to FaceのMBAを選んで留学して集まりなので、オンラインクラスに満足している人は一人もいません。
期末課題も大量にこなしていました。MBAに限らず学校に通うことの面白さの一つは、友達と助け合いながら一緒に勉強することですが、ロックダウンではそれもできず。。。個人レポートや試験は、外に出れない子供の相手をしながら(結構大変!)、コツコツと家で対応していきました。
一番困ったのがグループ課題です。グループでのレポートやプレゼン(オンラインで発表)は、どうしてもディスカッションが必要です。これも当然フルリモートでやるわけですが、対面でやった時に比べて効率は落ちます。
使ったツールは、Whatsappで四六時中コミュニケーションを取り、ZoomでMTGをし、Googleのツール(ドキュメントやスライド)で成果物をリアルタイムで共有しながら進めていきました。
私はグループ内で、課題ごとのメンバーのアサインと進捗管理をする役割をずっとしてきたのですが、リモート化によって、より綿密にやりました。また文字でのコミュニケーションはズレが発生しやすいので、今まで以上に気を遣っていました。
プレゼン準備も発表も全てオンラインなので大変です。私たちのグループは発表原稿は全て文字にして、全体のストーリーを確認していました。聞く側も大変です、まず飽きます笑。そして質問はチャットで適宜投げかけ、発表者が答えていきます。
*リモート前の様子
*リモート後の様子
ロックダウン中の生活
世界中のコロナ状況が悪化していく中で、情報収集、家族の命を守ること、帰国の検討などで、不安な気持ちで一杯でした。外出も2〜3日に一回、スーパーに買い物に行く程度でした。
また、教授や知人のご家族が亡くなるという話も聞こえてきており、パンデミックの恐怖を感じておりました。
一方で、ロックダウン中は毎日20時に、コロナに対応いただいている方々への感謝の気持ちを込めて、住民みんなで拍手を送っていました。
マドリードのコロナの状況については、レアル・マドリードが作成した動画が、まさに現実です。
帰国の検討
日本人を含む同級生が次々と帰国を検討する中(最終的にクラスの3〜4割が帰国)、私たちも当然帰国を検討していました。一方で直行便の停止、各国の移動制限、日本の入国管理の厳格化など、どんどん選択肢が狭まっていきました。主な情報源は、大使館からのメールと電話で確認、日本人ネットワーク、またTwitterもよく見ていました。日本人同級生とも毎日のように相談をしていました。
特に既に帰国された日本人の方の情報は強力で、帰国までのルート、飛行機の混雑状況、注意点、検疫の様子、レンタカーやホテルの手配、空港の待機室はWifiが飛んでいない、水とビスケットが出る、などのかなり細かい情報まで教えていただき、帰国の際には完全にシミュレーションできていました。
この時に困ったのが、日本政府や省庁の発表がわかりにくいことでした。何がOKで何がNGかというのがはっきりしておらず、個人の判断に任されている部分が多く(+空気を読め的な?)、判断しにくい状況でした。逆にスペインは、日常レベルからそうなのですが、OKとNGの内容が明確に示されているため、こうした非常事態ではありがたかったりします。
日本人の方は、ロックダウンの段階で早めに帰国された方が多かった一方で、私達は遅めの帰国だったと思います。なぜ帰国の判断を迷ったかというと、帰国にも感染リスクや子供連れには負担が大きい、Period1が3/24まで予定通り継続されていた、マドリードで家にいれば感染リスクは低い、自炊やデリバリーも含めて食事面も十分など、メリットとデメリットがあり、正解のない問題だからです。
とはいえ、主に医療面での安心感が決め手となり、私たちの家族は一時帰国の決断をしました。
帰国の流れ
毎日のように欠航が増え、直行便、ドイツ経由、ロンドン経由、ロシア経由と次々選択肢が消えていく中、最終的にはカタール経由で帰国しました。
マドリードの空港まではタクシーを使ったのですが、運転手さんもマスクと手袋を着用されていました。個人的には、子供が車から降りる時、普段なら手を取っておろしてくれたりするのですが、今回は触らないように気を遣われていたのが印象的でした。
空港に着くと、ほとんど人がいません(繁忙期の100分の1ほど)。スタッフの方はスペインらしくフレンドリーではあるのですが、漂う緊張感は半端ではありませんでした。
なので、カタール空港とのGAPに正直びっくりしました(誰もマスクはせず、ソーシャルディスタンスも取っていない)。
フライト自体は、マドリード→ドーハ間は1割も埋まっておらず、ドーハ→成田間は3分の1ほどしか埋まってなかったと思います。
日本に着いてからは、着陸から空港を出るまで3時間ほどでした。空港での対応が間に合っていない部分もあり、イライラされている方もいらっしゃいましたが、スペインでのトラブルやオペレーションの悪さに慣れたため、全然苦ではなかったです(留学の隠れた副産物でした笑)。また、ホテルやレンタカーの手配を事前にしておらず、当日困っている方もいらっしゃいました。
何はともあれ、無事に滞在先に到着できて、今はほっとしています。
おわりに
スペインでのコロナの感染拡大から帰国までの一連の流れをまとめてみました。わずか2週間足らずの出来事でしたが、私個人の体験談が少しでも参考になれば幸いです。私自身は、2週間の隔離生活で精神と身体を休めつつ、やれるべきことをやっていこうと思います。
2020年10月にスペインから日本に帰国した時の様子はこちら