IEビジネススクールMBA 2023体験記④(Term2授業・テスト編)

スペインMBA
この記事は約12分で読めます。

当サイトでは、欧州MBA留学を目指す方に向けて、受験から渡航準備、現地での留学生活や卒業後のキャリアまでの、リアルな情報を提供しています。

当連載は、2023年にIEビジネススクールのInternational MBA(IMBA)に入学された、SaさんのMBA日記です。今回は第4弾のTerm2授業・テスト編(Day113〜Day187)です。

Term2は授業・ソーシャル・インターン選考・Startup Lab等、目まぐるしい毎日でしたが、今回の記事は授業・テスト関連のツイートに絞ってまとめてあります。

第1弾の記事はこちら:スペインIEビジネススクールMBA体験記①(マドリード到着編)

Sa
Sa

Saさん:2023年にスペイン・マドリードのIEビジネススクールに入学。食・音楽をこよなく愛する私費MBA生。Twitterにて、留学中の出来事を毎日投稿中。

Term2授業(Day113〜Day176)

Day113. Term2開始:360°評価についての授業。出身業界あるいは業態によって捉え方も解釈も異なった点は新鮮。次回授業までにクラスメートを評価する課題が出る。また経済学の授業では”市場の自由度”を表したグラフで予想外の国々がトップランクに来た。学生から立て続けに質問が飛ぶ。Term2も努めて過ごしたい。

Day114. 授業2日目:ファイナンス応用編と政治の授業が始まる。政治学の授業がとても面白く、ビジネスと規制の対立をいかにして解すのか、あるいは拮抗させるのか。Uberとタクシー業界の事例をロビー活動を軸に紐解いた。 なお自由参加のマーケティングの補講もあり、教授との再会を多くのメンバーが喜んだ。

Day115&119. 経済学:石油価格の投資ゲームで需給を学ぶ。模擬ニュースに基づき24時間〜6ヶ月の幅で先物投資。チーム別に競い大接戦かつ大好評。休憩時間を削ることを厭わない初の機会に。次の授業では、『日本の経済史について語ることはクラスに有益なのよ』と教授は笑む。喧々諤々の授業ではいつも日本の”ユニーク”な施策の紹介が続く。2人の日本人どうしで、いかにしてインサイトを共有するか常に議論。Term2もいいサイクルが回り出した。

Day120. 相互評価の授業:チームに分かれ3時間フル活用でフィードバックを行った。comfort zone故安心して互いの良かったところ、改善が見込めるところとを共有。1人につき30分をかけてコメントし合う。各々の思う道標を感謝の言葉と共に互いのために示した。素晴らしいチームに加われた事を感謝。

Day121. Kaizen:過去の勤務経験を活かし、授業での発言量を徐々に増やすことができ嬉しい。特に製造現場でのトピックが上がった際にはKaizenの話題は必須。 また盲点だったのが豪華登壇者を伴うイベントで、来週はなんとサンデル氏が登壇。MBAのみならず総合大学ならではの利点を大いに活かしたい。

Day122. データ分析の授業:割引率やブレークイーブンポイントの求め方を学習。幸い他の科目で学ぶことと結び付く内容が今期は多く、講義中も俯瞰して学ぶことが可能。Term1との違いとしてはより実際のビジネス現場に近い内容を学ぶ事の様に思う.

Day123. 授業:政治学で多数決による意思決定の心理分析をケース学習し、戦略立案の授業では囚人のジレンマを用い、米国におけるシリアル販売の変遷を華麗に紐解いた。

Day128. 経済学:景気後退について、サームルールとフィリップス曲線を用い読み解く。FTやBloombergに日常から接し、勘所を掴める様になりなさいとの檄も飛ぶ。

Day130. 連休前最終日:欠席も多かったが教授らはサボタージュに慣れた様子で、淡々と講義を進める。経済学においては日本の少子化に対し危機的な見立てをクラスに共有し、戦略論の授業では既習のゲーム理論をコカコーラとペプシコの競争に当てはめシミュレーション。MBAを通じ学ぶ事の広さを再認識.

Day135. MBAT直前の授業:欠席もちらほら。授業後にパリに発つ面々もいる中、政治学の授業ではチキータ社のバナナ販売戦略と貿易規制に伴う売上の変遷と、背景に暗躍する力学を喝破した。続く戦略論では、ナッシュ均衡の事例を数々紹介し、鮮やかなまでの明瞭な解説に感動。英単語の語彙力の豊かさに圧倒された。

Day136. コストリーダーシップと差別化:種々のケーススタディの選択と当てはめるフレームの詳説の明快さに驚嘆。毎度新鮮な感動をもたらしてくれる。80分間ノンストップで講義終了時には全員が疲労困憊。また素晴らしい教授との出会いを得た。Alumniとして後輩らの指導に邁進する姿に心酔する。

Day137. 経済学:暗号通貨への投資がトレンドになっている国々が取り上げられた。共通項として自国通貨への不信が背景にありギャンブル色の強い投機に走ると言う。日本の国債についての言及も多く、経済学を学ぶ上で種々のベンチマークとして提示してくれる点は大変ありがたい。

Day140. アジャイル開発:ワークショップに参加。チーム別に紙とペンを渡され、絵文字を書くという動作だけで解説。座学の多かった中で、内容は単純ながら学習した事が頭に残り好印象。 

Day142. 経済学:仮想国の財務大臣として取る施策を考える課題が出た。過去5年間の財務状況並びに変動した数値を元にシミュレートの上、次年度以降2年間の数値予測と取るべき政策についての詳説をグループで執筆。侃々諤々の議論の末シナリオが2つ纏まったものの正解が分からず明日の回答を心して待ちたい所。

Day143. 授業振り返り:Term1はより従業員観点の学習内容が多かった事に対しTerm2は経営観点からの学習が中心。国家財政の予想課題然り、工場のリーン生産管理に至るまで、管理職としての視野をより広く持つことを求められる。慣れない学びの為か質問の列が以前に比べてより長くなる。教員も手厚く支え、いい循環に。

Day147. オペレーションマネジメント:グループ課題。限られた情報から需給の推移を予測し、予算の編成から製造用機械の追加購入まで徹底して議論。製造業出身のメンバーが中心となり立案と意思決定を行う。

Day148. 必修科目:IEにはTransformative Leadership Programと呼ばれる必修科目があり、実務科目とは別でよりソフトスキルに特化した学習を行う。複雑さとどのように向き合うか、自己の内面とどの様に向き合うか等、最新の心理学の紹介にも近いと感じるが、アカデミアの最前線に触れられる貴重な機会でもある。

Day149. 業務改善:Kaizen等の日本の製造現場における用語の解説の後、模擬業務改善に取り組む。国民性によってのツールの浸透具合の差分はどうかといった質問も飛び、日本の規則規範への関心を確かめられた。

Day150. 戦略論:ジョブズの意思決定を分析。初めて立体的な理解ができ驚嘆、いかに異端の経営者であったかを思い知る。また前ヘルシンキ市長の来学があることを知り、経営に限らないコネクションやリソースの豊富さに感銘を受けた。夜には起業した同級生のエキシビションを訪問し、品質の高さに驚く。

Day154. 病欠:戦略論で任天堂を扱ったものの惜しくも欠席。病欠に際してもオンライン出席が許されず、特段の事情(ビザ発給の遅延)を除き体調管理も自己責任。事務室からの『コロナであってもマスクをしていれば出席を許可する』旨の発言も忘れられず、徹底した自己管理を求められる事を再認識した。

Day162. データ分析:Decision treeを用いた意思決定の理論化を行った。ワイン農家における土地買収と新種葡萄の栽培の是非を予測収益を比較してベストな意思決定を分析。実際の決定に際して取られたプランと予想の差分の分析までを計6コマで駆け抜ける。短時間ながら極めて濃密な授業となる。

Day163. グループワーク:Term2も佳境に入り、分担がうまく行くチームもあればそうでない所も。不得意な科目に挑戦する未経験メンバーへのマネージが上手いグループは関係も良好な一方、遅れる進捗との向き合い方に性格が出る。正念場を迎えつつ、成長の機会と捉え精進したい。

Day164. クラス講義も終盤:恒例の誕生日祝いもあと少し。台湾からのクラスメートが返礼として歌を準備しており、歌う姿に涙する同級生も複数。結束が固く良いクラスだと思う。なるべく早いうちにTerm1と2とで何を学んだのか整理する時間を持ち、グループ課題や期末テストに備えたい。

Day166. 棚卸し:課題や学んできた内容の棚卸しに費やす。全くの未経験であったマーケティングに対する関心がゼロから芽生え、副専攻で希望するまで学習意欲が大きくなった事は収穫。一方ファイナンスに対しての苦手意識がままあるため卒業までに理解度を深めたい。ソフトスキルは概ね向上した印象を抱く。

Day170. 経済学:『首相だったら』どのような経済政策を取るかを論戦。オンライン上に準備されたロールプレイゲームをクラスで楽しむ。管理会計クラスでは教授を相手にベンチャー企業として投資を勧誘。Term2は実践が多く、これから始まるLab Periodに向けたカリキュラム設計が綿密な事を悟る.

Day171. 戦略論最終講義:In-N-Out Burgerの経営戦略の分析結果を話す。他に新規参入・市場奪取に成功した事例の発表が続く。土木から教育界へ転身された教授からは『キャリアでは金銭は二の次、本心からやりたいと思ったことを』とのアドバイスを貰う。次週は早くも試験期間に突入、気の抜けない日が続く。

Day174. 経済学最終講義:今期最も愛された教授。ふんだんに日本について言及して下さった。彼女のお陰でクラスメートの中にも日本に関心を持ってくれる人が増えた事も事実。今後の探究の柱に据えたいとまで話してくれたメンバーもいた。講義の度に、経済学者らの警句を紹介してくれた点も印象深かった。

Day175. 座学のMBAもあと2日:政治学の最終講義は石油メジャーの趨勢とステイクホルダーの動向を分析し、権力構造の下どのような力学が機能していたのかを鮮やかに描き切った。常に俯瞰することを求められ、利益の配分や調整に欠けたところはないか緊張感を伴う議論ができた。最良の授業の一つであった。

Day176. 管理会計とデータ分析で〆:先輩方のおっしゃる通り、座学で学ぶ内容は書籍と変わらない。一方、壁となって立ちはだかる教授陣らにどんなアウトプットを見せるか議論・準備を重ねた時間にこそ真の価値があったと感じる。”MBA is all about soft skills”と同級生が話した通り、姿勢や振舞をより学んだ。

Term2番外編

Startup Lab

Sa
Sa

Startup Labが本格スタートするのは、Term2終了後のDay188からですが、チーム作りや初期検討は早期から始まります。

Day116. Lab説明会:『課題発見の簡易さと解決提案の難しさ』をショートピッチから学んだ。卒業生の多くがそのまま起業することも知り、更に興味が湧いた。

Day141. チーム編成日:具体的な起業案を持つ面々がピッチを行い、求めるTalentを提示。まだ1人だという登壇者もいれば、既にチームを編成済みでSalesやMarketingに特化した人材が欲しい等ニーズもバラバラ。収益をどう得るのかについての明確に説明できていたチームは早々にコマを進めた

Day147. 初ミーティング:顔合わせと認識の擦り合わせを実施。頑張りたい。

Day161. 各チームの発見した課題を発表:寸劇を交え当事者の心情を表現する等いかにもラテンなピッチのチームもあり面白い。座学で学んだ内容を実践するに際して、未習熟な分野の多いことを改めて痛感する。MBAを学ぶにあたり残された時間が多くないことを自覚して過ごすことにしたい。

Day168. メンターとの初顔合わせ:約2時間に渡り個別具体的な質問に至るまで事細かに指導頂いた。講師の経歴が大変豪華で、相談に乗ってくれた3名はそれぞれCEO, CTO, 戦略コンサルタントと、IEの持つ幅広いネットワークが存分に活かされていた。5週間と短い期間ながらも伴走が頼もしい。

Dual Degree

Day145. Dual Degreeの志願文を纏める:Strategic Marketingを副専攻とし、2024年7月までプログラムを延ばしたい。MBA自体は2023年7月末で終え、夏季休暇明けから別の校舎に通うことになる。卒業時にMBAと併せ2つの学位を取得できることも魅力的に思う。1月入学ならではの選択肢の多さに感謝。

Day167. Dual Degree説明会:単位互換から国際プログラムまで多岐に渡り解説。MBAのみならずMIM等複数の年代の学生が集う。Big dataからLLMに至る進学先の多様さはJan Intakeならでは。20-30代とで同じ教室で学べる機会を楽しみにしたい。在学期間を延長する面々は欧州就職を目指す面々が多い印象。

Day169. 副専攻合格の報せを受け取る:複数の学科が統合され新設されるStrategic Marketingへの進学を予定。当該の専攻を卒業された先輩らと何度かの相談を重ね、迷った挙句の出願だった。Dual Degreeへ進学する場合は休暇を除きMBAを半年強、修士を10ヶ月弱で取得する事になりインテンシブな印象。

Term2テスト期間(Day178〜Day184)

Day178. Operations Managementテスト:デロイト社のコンサルタントが執筆した社説を元にIndustry4.0と従来のリーンマネジメント手法の統合がもたらす未来についてプロコンを整理するというもの。クラスでの受講もあと僅かということでお別れ会の企画が立ち上がる。息もつかぬ間に終わりが近づく。

Day180. 終日テスト勉強:息抜きに副専攻(Strategic Marketing)について調べた。どうやら平均年齢約25歳のクラスとなる様で、数多のグループワークと専門に特化した学習へとシフトが可能な様。未経験ながら種々有名企業のマーケティング職能へと入社を果たすメンバーも多いらしく、インテンシブさは容易に想像が付く。

Day181. テスト後:『同窓会』と称しクラス全体での最後の集いが催された。企画メンバーの発案の下、各人を表彰するAwardやクラスメートの幼少期の写真を投影して当て合う等、趣向を凝らした企画が続いた。共に過ごした期間は僅か6ヶ月ながらその紐帯は強い。束の間の休息の後、皆再び勉学へと戻った。

Day182. データ分析テスト:テスト後に同期と昼食:今更ながら昼休憩のないプログラムだった点は少しばかり苦しかった。一度住んでさえしまえば環境には慣れるもので、授業後の夕方に昼食を取る事が習慣付いた。日本にいた頃と比べて大幅に生活習慣は変化したと思うが、運動や自炊はなるべく今後も続けたい。

Day183. 経済学のテスト:教授が『テスト前の糖分補給よ』と2クラス分のカップケーキを振る舞って下さった。授業内容もさることながら人柄や振る舞いの数々は当地で授業を受けてこそのもの。ストイックに学ぶクラスメートらも束の間の安堵の表情を見せ、すぐさまテストに取り掛かる。

Day184. 管理会計のテスト:座学のMBAが修了。同級生らは教授を交え飲んだり、文化祭が催されたりと修了日らしく様々なイベントが行われた。バレンシアへのクラス旅行もあったもののやむなく断念し、元々予定していたポルトガル旅行へ赴く。

おわりに

今回の記事は、IEビジネススクール MBA留学記の第4弾として、Term2の授業・テストの2ヶ月半(Day113〜Dya184)を振り返って頂きました。

Sa
Sa

次回の記事は、Startup Lab編です。お楽しみに!

シリーズのバックナンバー
  1. マドリード到着編
  2. Term1授業・ソーシャル編
  3. Term1テスト・イースター休暇編
  4. Term2授業・テスト編
  5. Lab Period編(執筆予定)
  6. Dual Degree編(執筆予定)
  7. 卒業編(執筆予定)