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MBAに興味がある皆さん、こんな悩みありませんか?
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- MBAのカリキュラムや授業内容について知りたい
- フランス生活について知りたい
この連載では、フランス・パリ郊外にあるビジネススクール、HEC ParisのフルタイムMBA生にご協力いただき、MBAの授業や現地での生活について、リアルな内容を語っていただきました。
協力してくれた方(のすけさん):HEC Paris フルタイムMBAに在籍中(2021年1月入学)。
今回は第2弾として、HEC Paris MBAの16ヶ月間カリキュラムのうち、前半部分のTerm1-2(必修科目)の様子を紹介します(第一弾:学校紹介・オリエンテーション編はこちら)。
Term1編
オリエン期間後、Term1が本格的に始まりました。春休みにはHECの特徴の一つであるOutdoor Leadership seminarも行われました。私のグループは、バックグラウンドもバラバラな🇫🇷🇮🇳🇳🇬🇨🇦🇯🇵の5人で、Termを通じてとても仲良くなれたと多います。
Term1の授業は、以下の9つでした。
- Financial Markets
- Financial Accounting & Reporting
- Managerial Economics
- Managing Customer Value through Marketing
- Statistics & Business Analysis
- Bach Game
- Giving & Receiving Feedback
- Problem Solving & Communication
- Outdoor Leadership seminar
順番に説明してきます。
1. Financial Markets
金融市場に関する授業で、リスク&リターン、現在価値と将来価値、ポートフォリオ理論、CAPM、先物取引、オプション取引、債券、株式価値評価の基礎を学びました。毎回、授業中の小テストと計算問題中心の宿題が出されましたが、宿題は得意なクラスメイトに教えてもらいながら乗り切りました。
2. Financial Accounting & Reporting
財務三表の授業で、仕分けから財務三表の分析まで、一気に学びました。仕訳の初歩的なところからはじまりますが、授業の進み方が早いので、簿記3級程度の前提知識があるとベターだと思います。国際会計基準(IFRS)も改めて学ぶことができたほか、最新のトピックの説明もあり、Wirecardのスキャンダルをもとに、授業外で教授と監査法人の在り方や責任論について議論できたのが良い思い出です。
3. Managerial Economics
いわゆるミクロ経済学の授業で、需要供給曲線、市場均衡、限界便益、限界費用、弾力性、ゲーム理論、価格差別などを学びました。コロナの影響で全てオンライン授業となってしまいましたが、OPEC Gameという原油の需給と価格を予想するシミュレーションゲームで、クラスメイトの人間性が垣間見えたのが面白かったです。
4. Managing Customer Value through Marketing
マーケティングの授業で、状況分析、STPマーケティング、ブランディング、マーケティングミックス、プライシング、デジタルマーケティング等の基礎を学びました。自身のSTPを考えたり、チームごとに新商品のマーケティング戦略を提案する課題が出ました。
5. Statistics & Business Analysis
統計解析ソフトのSPSSを使って、推定、回帰分析、カイ二乗検定、決定木分析、因子分析、クラスター分析などを学びました。とても工夫された授業で初学者でも分かりやすく、印象に残りやすい授業でした。ただ、分かってなさそうに見えたのか、授業中1回と最終課題で当てられ、一人で発表する機会が2度ありました…。
6. Bach Game
チーム対抗のビジネスシミュレーションを通じて、財務三表の理解を深める数回のセミナーです。シミュレーションで利益を出すことはかなり難しく、どのチームも破産寸前でした。最後にはMBA初となるテストがあり、電卓とワードで財務三表を作成しました。
7. Giving & Receiving Feedback
半日のセミナーで、良いフィードバックの条件、構成、心理的安全性、フィードバックの受け方、留意事項などを議論した後、架空の事例でフィードバックを行う練習をしました。すぐに意識して活用できる実践的な内容だったと思います。
8. Problem Solving & Communication
コンサル出身の教授のセミナーで、仮説思考、問題の定義や構造の捉え方、解決策を伝えるためのStorylineなどを学びました。グループごとに問題を議論し整理していく中で、バックグラウンドの異なるメンバーの、問題解決へのアプローチ手法が知れて参考になりました。
9. Outdoor Leadership seminar
チームごとに様々な任務を通じてLeadershipを学ぶ弊校の名物セミナーです。コロナのためキャンパス内での開催となりましたが、構内の森、池、洞窟などの自然がフル活用され、ボートを作って池を渡ったり、建物屋上からロープで降りたりして、楽しく多くのことを学べました。
メンターの下、任務ごとにリーダーとサブリーダーが指名され、それぞれリーダーシップをとりながらチームをまとめて各任務に挑戦します。任務終了後はメンターからのフィードバックもあって、グローバルな環境でのリーダーシップの意味や実践方法と、自分の至らぬところを痛感した、とても濃い2日間でした。
Term2編
Term2は、グループワークの比率が最も高く、コロナで期間が短縮されたこともあって、最も忙しいTermでした。クラス替えで、新たに🇮🇳🇮🇹🇲🇽🇨🇮🇰🇷🇯🇵の6人チームとなったが、それぞれの得意なことを活かして、相互にフォローしながら全員で協力して課題をこなしていけたと思います。
Term2の授業は以下のとおりで、期間中はMBATやJapan Weekも開催されました。
- Corporate Finance
- Ethics & Sustainability
- Macro-Economics for Business
- Management Accounting & Control
- Operations Management
- Organizational Behavior
- Strategic Management
- Sigma Challenge
順番に説明してきます。
1. Corporate Finance
ケース中心の授業で、ビジネス分析、Target capital structure、Project評価(PBP、IRR、NPV)、企業評価(P/E、EV/EBITDA、DCF)、PE投資、SPACを含むIPOなどを学びました。毎回課題があってラクではありませんでしたが、やるだけ理解が深まる内容で、生徒からの評判も総じて高かったです。
2. Ethics & Sustainability
倫理的な思想・理論、それに基づく意思決定、SCR、ステークホルダーとの関係、貧困問題、金融市場での責任などを学びました。企業不祥事のケースでの、背景、個人や組織としてとるべき行動、防止策などについての議論が、企業法務と直結するところがあって面白かったです。
3. Macro-Economics for Business
いわゆるマクロ経済学で、GDP、インフレ、ビジネスサイクル、経済成長、金融政策、貨幣などを学びました。チームごとに国を選んでプレゼンをする課題が与えられ、自分たちは🇮🇳を選びましたが、世界各国の経済情勢やその背景を詳しく知ることができて勉強になりました。
4. Management Accounting & Control
コスト管理、予算管理、財務パフォーマンス測定、業績評価制度等について、ケースも使いながら学びました。個人的には、法律事務所のあるべきコスト管理や弁護士のパフォーマンス測定を考えるよい機会となりましし、自身の戦略的な予算管理の必要性も改めて実感しました。
5. Operations Management
個人的にTerm2で一番面白かった授業です。製造業のオペレーションをいかにして効率的に回すかを、ケースと理論をもとに学びましたが、個人的にはどの授業も新しい発見があり、目から鱗の連続でした。シミュレーションゲームが何度かありましたが、チーム戦でも個人戦でも1位になれたのが良い思い出です。
6. Organizational Behavior
組織行動学の授業で、交渉、Motivation、説得、Power、Personality、ネットワーク、個人や集団での意思決定とバイアスなどを学びました。交渉以外あまり触れたことのない分野でしたが、実践的な内容もあり、MBAでの自分の人物相関図のようなものも知れて面白かったです。
7. Strategic Management
5 forces、BCG Matrix、SWOT、PESTLE、ゲーム理論、Value Curve、VRIST、Value Chain分析などのフレームワークや理論を学び、具体的なケースにあてはめ議論していく授業でした。所属する法律事務所や自身の経営戦略を考える上で、検討の視点として非常に参考になりました。
8. Sigma Challenge
MBA前半の締めくくりとなる、3日間のチーム対抗ビジネスシミュレーション。Six Sigmaとは関係なく、生産管理、R&D、マーケなどの意思決定のほか、チームで複数のKPIを決めその達成率で与えられる総ポイントで争いました。私は🇫🇷🇺🇸🇮🇳🇯🇵🇯🇵の5人チームで、優勝して景品をGetしました!
番外編
Japan Week:HEC Paris MBAの日本人が開催する任意の文化イベントで、6月に3日にわたり開催されました。内容は、縁日、ラーメン、日本酒で、企業のご協力も得られ、どれも大変好評だったし、日本人同士の絆も深まったと思います。
MBAT:例年、世界中のビジネススクールから1,500人が集まるスポーツ大会で、HEC Parisキャンパスで行われ、3日間にわたって、スポーツトーナメント、文化活動、ネットワーキングなど盛りだくさんのイベントが開催されます。2021年はコロナの影響でオンライン開催となってしまいましたが、Zoomで各国をつないで競技を行ったり、寿司の作り方などの文化イベントもあり、大盛況だったと思います。
おわりに
今回の記事は、HEC Paris MBA留学体験記の第2弾として、必修授業(Term1・2)の内容を紹介しました。
次回の記事は、選択科目を学ぶTerm3〜4編です。お楽しみに!
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