IEビジネススクール(マドリード)は、アントレプレナーシップ、オンラインMBAが世界トップレベルであることが有名で、2020年のオンラインMBAランキングでは、QSでは世界1位、FTでも世界2位となっています。
私が通う留学型MBAも、新型コロナウイルスの影響で3月よりキャンパスがクローズし、オンラインになりました。
そんな中でも、関係者の尽力のおかげで、7月よりキャンパスが再オープンし、対面とオンラインの両方で授業が受けられる「Liquid Learning」(以下、ハイブリッド方式)が採用されました。
この記事を読んでいただいている方は、次のような悩みをお持ちではないしょうか。
- IEビジネススクールに興味がある
- オンラインMBAやハイブリッド方式について知りたい
- コロナ下で、どのように学びを最大化できるのか知りたい
この記事を読めば、IEのハイブリッド方式の実際を知ることができ、コロナ下で学びを最大化するためのヒントを得ることができます。
私はこの半年で、授業のオンライン化とロックダウン、一時帰国、日本でのオンライン授業、再度スペインに渡航、ハイブリッド方式と、家族帯同の立場で経験しました。
そんな私が、学生目線でIEでの学びを徹底的に解説していきます。
現役MBAの最新情報を活かし、新時代の学びについて考えてみましょう。
ハイブリッド方式とは?
学生目線でのハイブリッド方式は「対面でもオンラインでも、学生が状況に応じて好きな方を選ぶことができる、フレキシブルで便利な方式」と理解しています。
紹介動画の0:49が、実際の授業そのものなので、ご覧ください。
くわしくは、メリット・デメリットを考える中で紹介していきます。
ハイブリッド方式のメリット
世界中を見渡しても、このハイブリッド方式がベストだと思っています。その理由を説明していきます。
対面の選択肢がある
コロナの影響で授業がオンラインになったすぐあとに、世界中の学生から声が上がったのが「私たちはオンライン授業を受けに留学に来たのではない(なので授業料返せ!怒)」でした。今もみんな思っていると思いますが、現実はオンラインしか選択肢がないですね。
そんな中、対面の選択肢があるIEはとても恵まれてます。一方で、個人の事情でスペイン国外にいたり、健康上に不安がある、コロナが流行ってきて出たくない。こうした状況であれば、フレキシブルにオンラインを選択できます。
極端な例では、ハイブリッド方式で行われたサマースクールでは、グループワークを組んだオンライン受講者が、なんとコロナ陽性とのことでした(!)。
両方のいいとこ取りができる
どんなプロダクトでも、最良の使い方を見つけるのはいつも「ユーザー」です。ハイブリッド方式のユーザーである学生は、上手に活用しています。
- 教室でインタラクティブに学ぶ
- 教室にいてもZoomをつないで手元でスライド確認
- チャットも使える
- 録画されているので復習できる
- 授業内容や体調、スケジュールに応じてフレキシブルに場所を選択
- 教室でも、オンライン掲示板も両方使って議論できる
今まで以上に、学生のエンゲージメントと教授の力量が試されます。
Liquid Learningのデメリット
逆にデメリットも当然あります。
キャンパスの制約が大きい
キャンパスオープンには、学校側のとんでもないリソース(時間、人、ITシステム、お金など)が投入されています。そして政府や自治体とも常時連携しながら進めつつ、コロナの状況次第ではいつクローズするかわかりません。
学校側には当然感謝していますが、ユーザー側の目線ではどうでしょうか。
- キャンパスに入るには抗体検査が必要
- 毎日アプリで体調が問題ない旨を入力しないとキャンパスに入れない
- 2つをやるとキャンパスに入ることができる(アプリの許可画面を見せる)
- 教室や会議室の定員は50%、座れる席が決まっている、アクリル板設置
- マスクは常時着用、消毒液が至る所に置いてある
中途半端になる可能性あり
どちらも取ろうとしているので、中途半端になる部分があります。教室には高性能のマイクとカメラが設置されており、オンラインでも問題なく発言することができ、教室にいてもオンライン参加者の発言はスピーカーで出るので、両者がディスカッションできます。
しかしながら、Allオンラインであれば、オンライン用に授業をカスタマイズできますし、音質や画質も当然良いです。
また、画面シェアの切り替え、チャットの確認、教室とオンラインの発言者の切り替わりなど、両方を実現しようとする代償として、時間のロスがあるというのは否めません。教授が慣れていないと、設定や時間が余計にかかったりしますが、我慢するしかないですよね。
オンラインが不利
教室組と比べると、オンライン組は不利です。ディスカッションは教室側が主導権を握りますし、状況がわからない中でオンラインから入ってくるのも勇気がいります。こちらも教授の慣れが必要ですが、教室だけでなくオンライン側に問いかけるなどの工夫をしています。
マスク着用での英語の聞き取りと発言は大変。全てオンラインの方が音質は良い。
コロナ下で学びを最大化するには
対面とオンラインが混合する状況下で、どのように学ぶべきでしょうか。仕事でも基本はオンライン、たまにオフィスに出勤という働き方も増えていますよね。
アウトプット重視
授業がどんな形でも、MBAではアプトプットが何より大切です。しっかり発言をする、成果物を出す、グループプレゼンをするなど、今まで以上にアウトプットを心がけることが大切ですね。
心身ともに健康で
コロナに感染しないように気をつけ、身体が健康であることは前提ですが、メンタル面の健康も今まで以上に気をつける必要があります。
オンラインやハイブリッドだと、今まで問題なくできていたこと、一瞬でできていたことも、制約が出てきます。インタラクティブなディスカッションが難しい、反応がわからない、待つ時間が増える、システムトラブルが起こることもしばしばあります。
そんな中でも、平常心を保ち、我慢強く困難に立ち向かう姿勢が大切ですね。
コミュニケーション
対面では問題なくできていたコミュニケーションも問題が起こりやすくなります。
- 誤解が生じやすい
- グループワークが大変(スケジュール、議論、課題など、対面の阿吽の呼吸では進まない)
- 大量のメールやメッセージに埋もれる
- プレゼンやディスカッションに臨場感がない
挙げればきりがありませんが、これからは、オンラインでもリーダーシップが発揮でき、チームのモチベーションを保ちながら成果を上げられる、「新時代のリーダー」になる必要がありますね。
ハードル高いですね。。。
おわりに
今回は、「IEのハイブリッド方式」、「コロナ下で学びを最大化するためのヒント」について考えてきました。私の結論は、「IEのハイブリッド方式は(学生側からは)現在ベスト選択肢」、同時に「学生と教授の忍耐力と強いコミットメントが求められる」、「トライする中で見えてきた課題を潰す工夫が必要」です。
今回の記事が、MBAを検討されているみなさまの参考になれば幸いです。
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