私は留学前にはマーケティングの知識はほぼゼロでした。留学中に、「MARKETING MANAGEMENT(必修)」「PRICING STRATEGY」の授業を通じて理論を学びました。
そして、「STARTUP LAB」「HANDS ON ECOMMERCE」「KNOWLEDGE INCUBATOR(起業プログラム)」やブログ運営を通じて、実践でデジタルマーケティングにトライすることができました。
今回は、私が留学中に一年間かけて学んだ「デジタルマーケティング」についてまとめてみたいと思います。
この記事を読めば、デジタルマーケティングの基礎を全て知ることができます。
実際に授業を受け、何冊も本を読み、実践で学んできた私が詳しく解説していきます。
デジタルマーケティング概要
「デジタル」の前に、そもそもマーケティングとはなんでしょうか。今回の参考書籍から引用してみます。
本書によると、「マーケティング=売れ続ける仕組みづくり+消費者の買いたい気持ちづくり」と表現されています。「マーケティングとはセリング(売ること)を不要にすることだ」とドラッカーも言っていますね。
現状を分析して課題を見つけ、顧客と適切なコミュニケーションを取っていくことが、売れ続ける仕組みにつながります。マーケティングのスキルは、戦略/分析・データ/集客/獲得/コミュニケーション/実務の6種類に分けられます。
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、こうした従来のマーケティングの要素に、インターネットの特性が加わったものと考えてください。集客にはSNSや検索という要素が加わり、顧客体験の場にオンラインが加わり、双方向でのやりとりが即時に可能になり、そして顧客ごとに行動履歴をデータで把握することができるようになりました。
データを把握できるのは大きな変化で、各顧客の行動履歴を把握し、個人にカスタマイズしたマーケティングが可能になりました。
新規顧客の獲得
デジタルによって、顧客を新規と継続に分けて把握することが容易になりました。
- 売上=新規顧客+継続顧客×継続率
ここでは新規顧客の獲得に有効な、デジタルマーケティングの考え方とツールをみていきましょう。
広告
広告は顧客体験の入口だと言われます。デジタルマーケティングでの広告のポイントを見てみましょう。
- 顧客目線で設計する
- リスティング広告とアフィリエイト広告が重要(ニーズが顕在化している、購入に近い顧客を捕まえる)
- SNS広告はターゲティング精度が高く、目的に応じて使い分けよう
- 検索対策(SEO)はマスト
CAC
これはCustomer Acquisition Cost(顧客獲得単価)のことで、1人の新規顧客を獲得するためのコストを差します。理論的には、Life Time Value(顧客1人あたりの生涯で得られる利益)を上回っていることが最低限必要ですね。
SaaSの世界では、「LTV / CAC > 3」が必要と言われ、顧客1人の獲得コストの3倍以上の利益が求められます。
ECサイトを作る授業で、Google AdsとFacebook Adsを実際に試してみました。
リテンション(顧客の継続率)
売上アップするために、一番最初にやるべきことはなんでしょうか。再び登場の計算式です。
- 売上=新規顧客+継続顧客×継続率
答えは「継続率をアップさせること」です。新規顧客の拡大に目が行きがちですが、今いるお客さんを大事にすることの方を優先すべき場合が多いです。
継続率
継続率はリテンション分析とコホート分析の2つが代表的です。
まずはリテンション分析からです。これは、新規顧客になった人(100%)が時間が経つにつれてどれだけ残っているかということを表しています。最高の状態がSmiling(緑)で、Flattening(オレンジ)も相当良い状態です。Declining(グレー)は避けたいですね。
次にコホート分析をみていきます。これは同じく継続率を見ることができますが、顧客を獲得した日付ごとに詳しく分析ができます。グラフで言うと赤色で囲われた部分が注目すべき数値ですね。
2回目の重要性(F2転換)
マーケティング用語で「F2転換」という考え方を押さえましょう。これは、新規顧客が継続顧客(2回目以降)に変わることを意味します。なぜ大事かというと、1回目から2回目の壁がかなり高く、2回目に来てもらえれば3回目以降は比較的継続してくれるからです。
継続を促すために、新規顧客に次回以降使えるクーポンを配布したり、使い切りの製品であれば、製品がなくなる頃にメールなどでコミュニケーションをとる施策などが有効です。
Pre-Purchase→Purchase→Post-Purchaseの3つのフェーズで、適切なコミュケーションを取っていく必要があります。
Webサイトの改善
WebサイトやSNSを運用するのは基本ですが、どうやって改善していけば良いのでしょうか。この計算式を頭に入れておき、どこに手をつけるべきか考えるのが基本ですね。
- 売上=流入数×コンバージョン率×注文単価
計算式を元に、押さえるべきポイントを紹介します。
- 現状分析(入口からゴールへの導線でどこがボトルネックなのか)
- 顧客目線で体験を設計(改善)する
- 流入元別に分析する(どこから顧客が来たのか)
Webサイトのゴール(売上?会員登録?)に合わせて、ボトルネックやインパクトの大きい部分を探し出すことが大切です。
実践編:ネットとリアルの融合
デジタルマーケティングが重要な分野に、マーケティングミックス(4P)があります。これは、マーケティングの実行段階の戦略で、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)およびプロモーション(Promotion)で構成されます。
Amazonに代表されるように、ネットとリアルの融合について詳しく書かれた本がこちらです。
本書の内容を簡単に解説していきます。
チャネルシフト戦略
販売チャネルは4PのうちPlaceに当たりますが、デジタル化によって急激な変化が起きています。今までのオンライン対オフライン(実店舗)の対立ではなく、両者を組み合わせた戦略が求められます(チャネルシフト戦略)。
顧客時間
先ほども紹介した、Pre-Purchase(選択)→Purchase(購入)→Post-Purchase(使用)の一連の流れを、個人別にデータで押さえてカスタマイズすることで、顧客体験を最大化することが何より大切です。この一連の顧客体験も、オフラインとオンラインの組み合わせになります。
オフラインの体験(リアル店舗など)だけでなく、オンラインの体験(アプリやWebサイトなど)も同様に大切ですよね。
エンゲージメント+4P
オンラインとオフラインの両方を基点に、顧客のエンゲージメント(繋がり)を作っていくことで、Product、Price、Promotionに好影響を与えていくという考え方です。
ここで紹介した本は、単なるデジタルマーケティングを超えて、ネットとリアルの融合についてわかりやすくまとめてくれており、別途記事を書く予定です。
おわりに
マーケティングとは「売れ続ける仕組み」を作ることであり、デジタルマーケティングでは「顧客目線で買いたくなる仕組み作り」がより重要になって来ているという話でした。
また、顧客体験の場が「オンライン」に広がり、インターネットの双方向性、即時性、検索性といった特性を理解し、新規顧客と継続顧客の両面からアプローチすることが、デジタルマーケティングの成功に必要です。
データ分析、SEOやSNSといったデジタルツールに目が行きがちですが、顧客体験を最高のものにするというマーケティングの基本を改めて認識することができました。
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