IEに入学し、6ヶ月間のCore Period(必修)、5週間のLab Periodを終えると、残りは3ヶ月のElective Periodに突入します。100以上の選択肢から、自分の学びたい科目を取ることができます。
そこで今回は、「GLOBAL LEADERSHIP LEVERAGING DIVERSITY」の授業内容を詳しく紹介します。
IEビジネススクールのダイバーシティは世界トップクラスなので、こうした環境で学べることはとても貴重な体験です。
授業で学んだ理論と実体験を踏まえて、受けた私が詳しく説明していきます。
カリキュラム概要
この授業では、ダイバーシティな環境や異文化コミュニケーションにおいて、起こりうる問題点と解決策をディスカッションを通じて理解を深めていきます。もちろん参考書籍は、何回も紹介している「The culture Map」です。毎回授業でグループディスカッションがあるので、色々な国籍の人と話すことができます。
0. グローバルリーダーの条件
グローバルリーダーとは、ダイバーシティなチームを率いて成果を出せる人のことです。そもそもダイバーシティなチームにはどんなメリットがあるのでしょうか?
ダイバーシティのメリット
- 多様な視点がある
- 問題解決
- クリエイティビティ
- フレキシビリティ
- (長期的には)パフォーマンスが高い
ダイバーシティなチームのパフォーマンスをあげるには、「Third culture」と呼ばれるチーム内での独自のルールや雰囲気作りが必須です。①Ask、②Listen、③Respond(①に戻る)を繰り返しながら相互理解を深め、Third Cultureを作っていくのがポイントです。
Third cultureの内容
ポイントは9点ありますが、相互理解から全てが始まることがポイントです。
- 誰が決めるのか?
- 仕事の進め方(プロセス)
- スピード感
- 反対の仕方
- パーソナルスペース
- タイムマネジメント
- 質の基準(Efficiency, Quality or Value?)
- 共感の示し方
- やる気の種類
マインドフルネスとフロー
グローバルリーダーにはマインドフルネスとフローの2つが心構えとして必要です。
「Non-Judgement(Mindfulness)」と「Focus on present(Flow)」をスタンスとして持つことがグローバルリーダーの第一歩です。
1. ローコンテクスト vs ハイコンテクスト
日本や中国、インドなどのハイコンテクスト文化は、共通点や暗黙の了解があることを前提としてコミュニケーションを取ります。メッセージは行間で伝えられることが多く、日本の「空気を読む」というスタイルが、まさにこれです。
逆に、米国や欧州など、ローコンテクスト文化は、明確で、曖昧さをなるべくなくすようなコミュニケーションをします。メッセージは言葉通りに伝え、受け取られます。よく、冗談を言った後に、「冗談だよ」と付け加えるのがこの文化の特徴です。
授業の学び
言葉の価値、沈黙の意味合いがハイコンとローコンの文化では全く違ってきます。ハイコン文化では沈黙が重要な意味を持つことがあり、逆にローコン文化では言葉に出すことが極めて重要です。
日本人は最もハイコン文化なので、MBAのようなダイバーシティな環境では、普段の何倍も意識して言葉に出すことがとても重要になります。私がダイバーシティのコミュニケーションで一番フィードバックを受けたのが、この部分です。
2. 信頼の築き方
タスクベース vs 関係ベース
信頼形成の際に、仕事のクオリティを信頼するか、人間性を信頼するか。アジアの新興国では、人間関係が重要であることが多く、意識的して仕事以外の場面で距離を縮め、信頼を築くことも必要です。逆にタスクを重視する文化では、個人的な関係性を過度に求めず、成果を出すことに集中します。
授業の学び
人間を16のタイプに分ける診断テスト「Free Personality Test」をやりました。これは世界的にとても有名なテストで、企業研修でもたびた使われています。無料でできますので、やってみてはいかがでしょうか。
このテストでは、タスクと関係ベースとまた違った二つのタイプとして、「感覚タイプ」と「直感タイプ」に分けることができます。
感覚タイプ
- 現実や事実に目を向ける(現在重視)
- 与えられた情報から得られる事実や、実在するものを重視する(実際のデータなど)
- 詳細な事を観察し、覚えている
- 情報を1つ1つ積み上げ、結論に達する
- アイディアを現実に落とし込み、実際に現実化するのが得意
- 経験から得られた情報を信用する
直感タイプ
- 状況から推測される事やこれからの可能性に目を向ける(ビジョンを持つ、未来重視)
- データから見えてくるパターンや、それが意味する事を重視する
- パターンに関係がある時はその関連詳細を覚えている
- 直観に従って結論に達する
- アイディアやひらめきからビジョンを考え出すのが得意(落とし込みは苦手)
- ひらめいたことを信頼する
自分がどちらか、メンバーがどういう傾向があるのかを知ることが重要ですね。
3. プレゼン課題(説得とフィードバック)
授業では「趣味」をテーマに2分半のプレゼンをし、チームに別れて口頭フィードバック&フィードバックレポートの課題がありました。異文化コミュニケーションのテーマである「説得」と「フィードバック」をみていきましょう。
グローバルに通用するプレゼン
まず最初に来るのが「聞き手を理解すること」です。ポイントとしては以下の通りです。
- 誰が出席するのか?
- 彼らは何を知っているのか?(知識レベル)
- なぜ彼らは解決法を探しているのか?
- 予想される反論は?
- なぜ私がプレゼンをするのか?(Pathos)
- 彼らは誰から話を聞きたいのか?
「聞き手を理解」すれば、次は「構成」を練りましょう。
- 解決したい問題は何か?
- 問題の詳細な説明
- どんな解決策を提示するのか?
- Logos(ロジックとストーリー)
- Ethos(感情)
特にインターナショナルなプレゼンで重要なのは、「問題を明確にすること」「明快な解決策を提示し、理由(エビデンス)を伝えること」です。
フィードバック
授業ではグループに分かれて、口頭でフィードバック、その後文章でのフィードバックをお互いにしました。ポイントをまとめると、
- Specificなフィードバックをすること(具体例を交えて)
- ネガティブ→ポジティブな言い方に変換すること
- できているところを伝えてから、改善点を伝えること
具体的、ポジティブ+改善点というところが大事ですね。
4. リーダーシップ
Period1のリーダーシップの授業でも学びましたが、リーダーシップの出発点は自分自身をリードすることです。そのためには、自己理解が非常に重要になってきます。優れたリーダーはWhyでメンバーを引きつけますが、その前に「What is your own why?」を見つけましょう。
- あなたが幸せな瞬間は?
- あなたが誇りに思う瞬間は?
- あなたが満足した瞬間は?
- あなたが最高の仕事ができた瞬間は?
こうした問いに答えながら、自分自身のビジョンを見つけていきます。
ビジョン
リーダーシップはビジョンが必要です。よくある「マネジャー」と「リーダー」の話ですが、ビジョンによって人を動かし、またメンバー自身のビジョンを達成するための手助けをするのが、リーダーです。
Personal Value Proposition
「Value Proposition」とは「顧客に提供する価値」のことです。多くの企業が公開しており、顧客の立場から製品やサービスのメリット、自社の存在価値や独自性を言語化していますね。授業では、これの個人版について考えました。
一番最初に「誰に」「何を提供できるのか」を、なるべく具体的に考えることが大切です。具体的なステップはこちらの記事をご参照ください(企業版ですが、そのまま個人に応用できます)。
MarkeTRUNK
おわりに
授業でのレクチャーとグループワークを通じて、ダイバーシティで起こりうる課題、グローバルリーダーに必要な考え方やテクニックを学んだ授業でした。
次の記事はこちら
参考記事がたくさんあるので、紹介します。