こんにちは、今回は普段とテーマを変えて、子育てについて書きたいと思います。私は東京、マドリード、日本の地方都市で子育てした経験があります。
マドリードに滞在して1ヶ月ほどが経過した時、家族でレストランで食事をしていたのですが、とてもリラックスできている自分に気がつきました。思い起こして見ると、マドリードに来てからずっとです。東京にいる時はずっと緊張していました。
今回は、何が東京とマドリードで違うのか、なぜ東京の子育てが大変だと感じたのかを、実体験をもとに言語化してみようと思います。
理由はズバリ、「物理的な余裕」と「精神的な余裕」です。フィジカルとメンタル両方です!
1. 物理的な余裕
東京とマドリードでまず違うのが、物理的な側面です。具体的には、人口密度が全然違います。
人口密度
東京23区の平均は約15,000人/平方kmで相当密度が高いですね。一方でマドリード中心地の人口密度は約5,000人/平方kmです。マドリードは東京の3分の1なので、相当余裕がありますよね。
*人口密度の数字は丸めています
ちなみに日本の市町村だと、5,000人だとこの辺りに位置します。
移動や滞在に余裕が出る
東京の人口が3分の1になったと想像してみてください。移動や滞在先でも楽になると思いませんか。具体的にみていきましょう。
移動が楽
東京在住時は、基本の移動は地下鉄やバスでした。子連れで移動するのは基本休日ですが、結構混んでいます。
ベビーカーなのでエレベーターを探して遠回りし、ホームは人混みをかき分け、電車に乗り込んで邪魔にならない場所をなんとか探し、電車を降りて、またエレベーターを探す。目的地に着く頃にはぐったりですよね汗。
マドリードも同じではあるのですが、人混みは3分の1、特にバスは大型なので助かります。
歩道が安全
これが一番重要だと思うのですが、歩道を自転車が走るということがありません。これは本当にありがたいです。東京では歩道を自転車がビュンビュン通るので、子供と歩いている時は、冗談ではなく「命の危険」を感じていました。「身の危険」ではなく、「命の危険」です。
子供がちょっと横にずれた時に、後ろからぶつかられると思うと気が気ではなく、数秒に1回後ろを振り返っています。
これは構造的な問題であり、歩行者も自転車もWin-Winになれる「自転車専用道路」の整備をお願いするしかありません。
車が止まってくれる
歩行者優先が徹底しているので、基本的に止まってくれます。止まるのが当たり前なので、渡る時にも変なプレッシャーを感じずありがたいです。
外食
レストランやカフェで食事をする時も、東京と比べて倍以上余裕があるイメージでしょうか。座席もゆったりと配置されているだけでなく、テラス席もあるので、大声を出してもあまり気にならず、何かを落としたとしても物理的な距離があるので、安心です。
店員さんや周囲のお客さんも笑顔で子供に対応してくれるので、リラックスできます(のちのメンタル編でくわしく紹介)。
家
私の家や同級生の家を見ていても、同じ家賃でも東京より広い家に住むことができます。
家の中は土足厳禁にしているのですが、こちらは玄関がなく入り口に段差がないので、ベビーカーなどもスッと入れられます。意外と玄関のスペースも有効活用できますね。
廊下も日本よりは広いので、気持ち的にゆったりしていますし、トイレと風呂がセットなので、これも意外とスペースを有効活用できている気がします。
公園
こちらも空間的には余裕があります。自分の子供や周囲の子供達にケガがないように注意はしていますが、東京のように遊具が大混雑ということはほとんどないので、ゆったりと過ごせます。カフェコンレチェを手に、ベンチで子供を眺めることができます。
2. 精神的な余裕
物理的な話は、人口密度を考えるとマドリードが住みやすいのは当然ですが、実はキーポイントは精神面にあると思っています。
子供に対して寛容
スペインの人は子供に対して本当に寛容です。レストランで食事していたり、地下鉄や街中を歩いている時に、嫌な顔をされることは絶対にありません。むしろほぼ全員が笑顔であやしてくれたり、子供を触って来る時もあります笑。
日本だと、ごくたまに優しく声をかけて頂けることはありますが、マドリードだと老若男女関わらずみんな優しく声をかけてくれます。店員さんも子供にとても優しく、笑顔で手を振ったり話しかけてくれます。レストランに入る時の、子供大丈夫かとドキドキすることはないので、これだけでも相当子育てのストレスが減ります。
ある時、車に乗っていて子供がおしっこを漏らしてしまった時があったのですが、「謝る必要は全くない」、「とてもいい子だったよ」と優しく声をかけてくれた時は、思わず胸が熱くなってしまいました。
逆に日本だと、一回出かけると最低一回は嫌な顔をされますし、悪態をつかれる時もあります。弱者が攻撃されるのが常なので、お母さんたちが嫌な思いをされる回数は、私の比ではないと聞きます。日本はおもてなしの国と言いますが、どうなのでしょうか。
助けてくれる
これが精神的に大きいです。ドアは必ず開けてくれますし、段差があれば助けてくれます。地下鉄やバスでも、ほぼ100%席を譲ってくれます。わざわざ遠くからやってきて、あそこの席に座りなさい、というのも日常茶飯事です。
私も自分が子育てするまで気付かなかったので偉そうなことは言えませんが、ベビーカーで移動するのは、想像以上に大変でした(抱っこ紐はもっと大変)。まずは子供の安全を確保しつつ、周囲の迷惑にならないように常に気を張っている。こうした些細な積み重ねがストレスにつながっていたんだなあ、と振り返っています。
マドリードでもどこでも子供の安全が大事ですが、「困ったら助けてくれる、迷惑をかけてはいけないという大きなプレッシャーがない」というだけで、かなり気持ちが楽になります。
*なぜこんなに寛容なのか、助けてくれるのかが正直わかりませんので、調査をしてみます(わかったら追記します)。
東京の良いところもたくさんある!
マドリードの良いところを説明してきましたが、東京の良いところも数え切れないくらいたくさんあります。
結論
この記事の結論は、「東京で感じていた子育ての大変さは、物理的・精神的な余裕に要因があった」ということでした。じゃあどうしたらいいのか、ということですが、個人的には以下のことを感じています。
自転車専用道の整備をお願いします!!とはいえ、すぐには難しいので、自転車で歩道を走る場合はゆっくり、歩行者と距離をとって走ること。
バスや地下鉄にベビーカーや車椅子のスペースを増やしてほしい。ベビーカーを見かけたら、もし可能であれば道を空けてあげる、電車の中では席を譲ってあげる、ドアの付近の広い空間を空けてあげる、乗り降りする際には空間を空けてあげる。もうこれだけでみんなHAPPYです。つり革のある車両の真ん中部分に、ベビーカーで行くのは困難です。
とにかく子供連れに優しく、助けてあげる、嫌な顔や言動をしない(嫌だと思っても顔に出さない)。もうこれを世界に誇れるくらいの日本の文化にしたいです!
おわりに
東京での子育てを振り返ってみました。いろいろな例を出していますが、全て実体験を基にしています。
構造上すぐにはどうにもならない部分(人口密度、自転車専用道、地下鉄やバスの設計など)はありますが、すぐに対応できる部分(助けてあげる、寛容になる、自転車は気をつける)は、少しでもよくなればいいなと思い、この記事を書きました。
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