こんにちは。イギリスで大学院生をしているまりです。私は1年間で社会学の修士号を取得した後、現在、2年間で修士号を取得するMBAコースに所属しています。
通常イギリスでは1年で修士号を取得できますが、2年間で修士号を取得するコースもあります。2年コースでは、修論執筆の代わりにプレイスメント(インターンシップ)を行うことで卒業が認められます。
今回は、1年コースと2年コースの両方を経験した筆者がイギリス大学院でプレイスメントを行うメリット・デメリットについてお話します。
この記事のライター(まり):イギリスの大学院に留学し、1年間で社会学(移民学)を修了。現在は、セカンドマスターとしてMBAコースに在籍中。
イギリス大学院でのプレイスメント
私は、前回の記事でお話したゲーム関連会社でプレイスメントをしています。
プレイスメントとは、長期の有給、または無給のインターンシップのことです。現在の所属コースでは、専攻分野と関連のある長期インターンシップ(9~10カ月)を実施し、その後レポートを書くことで修了が認められます。
よって、修士論文を書く場合は1年で卒業できますが、プレイスメントをする場合は卒業までに2年かかります。
現在の所属大学はイギリス国内でのプレイスメントしか認めていませんが、大学によってはイギリス国外でのプレイスメントを認める大学もあります。例えば、開発学を勉強している人であれば、実際に途上国に行き、NGO団体などでプレイスメントすることも考えられます。
また、1年間で修士号を取得するコースでもプレイスメントができる大学もあります。その場合、約3カ月間のプレイスメント後、レポートを書くことで卒業することとなります。
私が社会学の修士号を取得した大学でもこの制度がありました。博士課程進学希望者は、積極的に修論執筆を選んでいましたが、卒業後に就職を考えている人はできるだけプレイスメントをしようとしていました。
実際は、大学から「コロナの影響でプレイスメントは実施できない」との通達があり、全員が修論を提出しました。
プレイスメントをするメリット
私自身の経験から、2つのメリットがあると感じました。
- 実践的なスキルを習得できる
- 現地就職に繋がる
1. 実践的なスキルを習得できる
プレイスメントは、座学では得られない実践的なスキルを獲得する絶好のチャンスです。例えば、以下のようなスキルを現場で学ぶことができます。
- 職場で必要とされるリーダーシップやコミュニケーション力
- チームワークなどのソフトスキル
- ビジネスの場で使われる英語
さらには、1年目に座学で専門分野について勉強し、2年目でその知識をプレイスメントで活用することで学びを深めることができます。
加えて、日本からの留学生の場合、「海外で働くとはどういうことか」を体感する機会にもなります。特に、卒業後に現地就職するか迷っている場合は自分の実力を試すこともできます。
私はプレイスメントやその応募プロセスを経験してから、日本での就労経験のない私には、ポテンシャル採用をしてくれる日本企業に就職する方が可能性が広がると実感しました。この経験から、イギリスで現地就職するよりも日本で就職する決意ができました。
2. 現地就職に繋がる
大学院卒業後に現地就職を目指すのであれば、どんな職種でもいいので現地での職務経験があった方がいいと言われています。
そんな中で、現地でのプレイスメント経験があれば就活を有利に進めることができます。さらに、プレイスメント後に正式に採用してもらえる可能性も充分にあります。ジョブオファーをもらった場合、会社が学費を負担してくれることもあるそうです。
たとえ、ジョブオファーをもらえなくても、プレイスメントで築いた人脈から他の企業に紹介してもらえ、就職に繋がることもあるそうです。
プレイスメントをするデメリット
プレイスメントをするデメリットは、以下の4つがあると思います。
- 応募時に学業と両立するのが大変
- プレイスメントを確保できない場合がある
- 卒業までに時間がかかる
- 学費や生活費が余分にかかる
1. 応募時に学業と両立するのが大変
プレイスメントに応募する際には、CVの作成から面接対策など多くの時間がかかってしまいます。さらには、応募プロセスが数カ月に及ぶこともあります。よって、学業との両立が難しくなってしまうかもしれません。
2. プレイスメントを確保できない場合がある
たとえ、プレイスメントがコースに組み込まれていたとしても、大学が雇用先を保証してくれるわけではありません。採用してもらえなかった場合、大学側が代替措置として行っている授業を受ける必要があります。
そのため、プレイスメントをすることを目的に2年間のコースに進学しても、結局は2年目も大学で授業を受けるはめになる、ということも考えられます。
ちなみにですが、所属大学のプレイスメントの条件は、以下の5点でした。
- 期間が9~10カ月間であり
- 企業のホームページがあること
- 専攻と関連のある分野であること
- 学生の家族が経営する企業でないこと
- 学生がフィードバック等を通じて学びを深められること
多くの企業はプレイスメントの期間を6カ月、もしくは1年としています。9~10カ月のプレイスメントを実施する企業は少ない為、コースメイトの多くが2年目も大学で授業を受けています。
私は、アルバイト先のマネージャーと交渉して、日本人チームをまとめるというポジションを与えてもらい、大学にもプレイスメントとして認めてもらうことができました。
3. 卒業までに時間がかかる
1年で卒業できる大学院の単位を2年かけて取得するので、卒業まで通常よりも時間がかかってしまいます。よって、効率よく修士号を取得したい方にはオススメできません。
しかし、現地での就労経験を積みたい方や「1年の留学では物足りない!」という方にはぴったりだと思います。
4. 学費や生活費が余分にかかる
2年間大学に在籍する分、学費や生活費が多くかかってしまいます。しかし、ほとんどの大学で2年目の学費は安く設定されています。例えば、ブライトン大学のMBAコースは、1年目の学費が£19,314で、2年目が£2,120でした。
生活費に関しては、有給のプレイスメントに採用してもらえた場合は心配ないと思います。しかし、プレイスメントが無給であったり、プレイスメントに採用してもらえなかった場合は、2年目の生活費が余分にかかってきてしまいます。
おわりに
プレイスメントを実施することを前提でイギリス大学院に留学するのであれば、「Best University Work Placement」に選ばれた大学に進学すると手厚いサポートを受けられると思います。
また、できるだけ早く応募し始めることをオススメします。例えば、私の所属大学では、大学院入学後すぐに、2年目のプレイスメントに向けて応募し始めることを勧められました。
現地就職を目指す方や海外での就労経験を積みたい方には、ファーストステップとしてプレイスメントはとてもオススメなので、ぜひ挑戦されてみて下さい。