「留学は長いようで短い。やりたいことを明確にした方が良い」。入学前に、アルムナイの方にこんなアドバイスを頂きました。そこで私は目標リストを作り、毎月進捗を確認+その方に送ることにしました。留学を振り返ってみて、エクセルの目標リストを作成せずに来ていたら、時間が足りなくてゲームオーバーだったな、と思います。
この記事を読めば、一人の現役の留学生が、MBAの留学中にリアルにやっていること、できることのイメージを明確に持つことができます。
内容の詳しさは、間違いなく日本で一番です。なぜなら、MBA中の目標を細部まで公開し、月単位で進捗を公開しているからです。
追記:卒業後の振り返りをしました!
目標の立て方
目標は、OKRの手法を使いました。
OKRとは、Objective(定性的な目標)とKey Results(定量的な結果)がセットになった目標管理手法で、Googleが有名です。特徴的なのが時間軸で、1ヶ月〜4半期という短期間で目標の見直しや修正を繰り返していきます。
私は、留学中の3つの大目標を立てました。
<私の留学中の目標>
・起業の経験を積む
・グローバルリーダーシップを身に着ける
・学校以外で自分の視野を広げる
時間軸として、1年間/各Period/1ヶ月の目標を設定し、毎月進捗と修正を繰り返しています。ポイントは、最初は仮説に近い目標を立てておき、ちょっとずつ具体化していくのが良いです。
私の場合は、フェーズを下記のように細分化し、ポイントを意識しながら進めて行くことで、3つの目標を達成することができました。
フェーズの細分化
1. Core Period(1-6月)
2. Lab Period(7月)
3. Summer Program(8月)
4. Elective(9-11月)
5. Graduation(12月)
ポイント
1. 実際に行動する
2. 見える化
3. 定量的なアウトプット
Objective1:起業の経験を積む
KR-1_実起業PJに1年間取り組む
目標
これは優先順位が一番の目標です。特にIEはアントレプレナーシップで有名な学校なので、一年間テーマを決めて、「リアルのプロジェクトをやる」ことを目標にしました。興味があるEdtech関係のテーマで、入学前から探索していました。
進捗と結果
Core Period
必修のアントレの授業を通じて、Edtech関連のテーマを探索。Period2のロックダウン中にじっくり考え、ビジネスゲームをテーマに、Problemの深堀、プロトタイプ、MVP、無料→有料トライアルまで持っていきました。
Lab Period
Startup Labにて、インド市場をターゲットに「ソフトスキルが学べる教育プラットフォーム」のアイディアに取り組みました。
Summer Program
ビジネスゲームのMVP(最低限の機能を持った製品)を作成し、現在まで100名の方に参加いただきました。国内外の起業家や投資家の方とも、オンラインでミーティングをさせて頂きました。
ElectiveとGraduation
IEの起業プログラムも後半戦に突入。事業計画、ピッチスライド、5年損益計画、Webサイトが完成し、Validationを進めていきます。さらには大学院生のインターン3人がチームにJoinしてくれました。投資家の前で最終ピッチをしてプログラムが終了しました。
卒業後も、ビジネスゲームPJを継続する予定です。
KR1-2_戦略関係PJに参画
目標
事業会社で「戦略策定」と「実行」をやってきたので、その分野を伸ばすことを目標にしました。戦略コンサルの方が持つスキルセットを理想に、どうやって今の自分とのGAPを埋めていくか、ということを考えながら進めています。
進捗と結果
Core Period
これも実プロジェクトで学ぶのが一番と考え、Period1はテーマ探しを目標にしました。ケースコンペやコンサルクラブなどのイベントに参加しながら探索しましたが、これというのが見つからず。Period2はStrategyの授業に集中し、アウトプットとして「戦略が学べるストラテジーゲーム」を出すことができました。
Lab Period
ストラテジーゲームに付随して、「ケーススタディ完全攻略法」と「戦略が学べるスライド」をアウトプットで出しました。
Summer Program
「ケースの読み方&戦略セミナー」を開催し、多くの方に参加いただきました。
ElectiveとGraduation
卒業プロジェクトとして、5人のメンバーでUKスタートアップの事業戦略策定に3ヶ月間取り組みました。また、Eコマースの授業の中で、アフリカNGOのデジタルマーケティングPJに、こちらは6名のグループで1ヶ月取り組みました。
Objective2:グローバルリーダーシップを身に着ける
KR2-1_単位取得して無事卒業(修士号)
目標
ここでは、卒業する=MBAというグローバルリーダーに必要な素養を身につけた、ということにします。
進捗と結果
Core Period
必修科目で、全単位を取得しました(成績は平均よりちょい上)。
Lab Period
ピッチ(成績の50%)と各授業の課題(成績の50%)を完了させ、無事に修了しました。
Summer Program
4週間のプログラムに参加し、DX、リーダーシップ、スキルセット、Humanityのテーマで学びました。アウトプットは、授業紹介記事を6本執筆しました。
ElectiveとGraduation
Elective8つの授業の単位取得と卒業プロジェクトを完了させ、無事に卒業となりました。
KR2-2_リーダー経験を毎月1つ持つ
目標
実際にリーダー経験を積むことが一番だと思い、この目標を立てました。
進捗と結果
Core Period
リーダーシップに必要なのは自分の強み・弱みの理解だと思い、自己理解を最初の目標にしました。全員国籍の違うメンバーとのグループワークの中で、課題のゴールイメージを設定し、役割分担をするという点で、チームに貢献できたかなと思います。Period2は、フルリモートでしたが、同じく課題設定や役割分担の叩き台を作る点で貢献しました。
Lab Period
Startup Labは、違ったメンバーで進めています。起業プロジェクトなので、行動や手を動かすことによってしか価値は生み出せないので、落ちている仕事を拾いまくるという精神で進めました。
Summer Program
少しリーダーシップとはズレますが、Sushiランチを定期的に開催し、世界中の友人を楽しませることができました。
ElectiveとGraduation
Eコマースの授業では、アフリカのNGOプロジェクトをリーダーとして推進しました。
KR2-3_テクノロジーの知識習得と実践
目標
「Techプロジェクトのプロマネができる」ということを目標にしました。この本に書かれているスキルセットを目標にしています。
進捗と結果
Core Period
Period1では「Innovation in a Digital World」という授業で必要な知識を学び、Period2ではビジネスゲームをテーマに、デジタルプロダクトの開発とデジタルマーケティングを実践で学びました。
Lab Period
ソフトスキルプラットフォームをテーマに、同じくデジタルプロダクトの開発とデジタルマーケティングを学べました。
Summer Program
ビックデータとAIの授業をブログでアウトプットし、Udemyのプログラミングコース(DockerとPython)を修了しました。
ElectiveとGraduation
Electiveではデジタル関係の授業を中心に取り、Technologyコースを集中して学んだという認証をもらいました。
- APPLIED DATA ANALYTICS FOR BUSINESS LEADERS
- HANDS ON E-COMMERCE AND DIGITAL STRATEGY
- TECH PRODUCT MANAGEMENT
Objective3:学校以外で自分の視野を広げる
KR3-1_スピーチorプレゼンを週に1回以上
目標
とにかく人前に立って恥をかく、ということを目標にしました。
進捗と結果
Core Period
授業とパブリックスピーキングクラブでの機会を活かし、1〜2週間に1回のペースでプレゼンやスピーチをこなしました。ロックダウン後は、全てオンラインのプレゼンになりました。一方で、動画作成という課題が数多く出され、オンラインプレゼン(撮影)+編集というスキルを身につけることができました。
Lab Period
4週間でピッチは2回、動画を2本作成しました。
Summer Program
ビジネスゲームを題材に、IEの教授にメールを送ってオンライン面談してもらったり、授業の後に捕まえるなどして、ピッチQ&Aの機会を定期的に持ちました。
ElectiveとGraduation
BUSINESS STORYTELLING & INFLUENCEの授業を中心に、週に1〜2回のペースでピッチしました(ほぼ全てオンライン)。
KR3-2_コミュニティ運営
目標
これからはコミュニティの時代だ、ということで、自分でコミュニティを運営する経験をしようと入学前に決めました。
進捗と結果
Core Period
当初は、IEのどこかのClubのOrganizerになろうとぼんやり思っていましたが、ロックダウン中に2つのコミュニティを自分で立ち上げました。
・1つ目は、MBA関係者が学校や世代の枠を超えて交流できる、「MBA留学コミュニティ」です。
・2つ目は、IEの関係者で「起業や新規事業を実際にやっているメンバー」が定期的にピッチし合うコミュニティです。このコミュニティは全員プレイヤーのため刺激的で、とても学びが多い場になっています。
Lab Period
2つのコミュニティを盛り上げることに注力しました。
Summer Program
2つとも継続中ですが、留学コミュニティは約200名まで拡大、起業コミュニティも定期ピッチを開催しました。
ElectiveとGraduation
立ち上げたコミュニティをしっかり継続しています。
KR3-3_行ったことのない国に10か国行く
目標
せっかく欧州に住むのだから、普段行けないような国、行ったことのない国を訪れることを目標にしました。
進捗と結果
Core Period
スペイン国内を旅行することができました。
Lab Period
コロナの影響で、成果はゼロでした。
Summer Program
軽く旅行ができました(ワーケーションも体験)。ついでにマドリードの歴史とバルセロナの歴史もまとめてみました。
ElectiveとGraduation
コロナに感染せずに無事に過ごすということができました。
おわりに
留学の目標を3つたて、毎月進捗を確認していくことで、結果的に全て達成することができました。
- 起業の経験を積む
- グローバルリーダーシップを身に着ける
- 学校以外で自分の視野を広げる
卒業はゴールではなくスタートなので、今後も学んだことを活かして頑張っていきたいと思います。
今回は細かい話が多かったので、留学の総括記事は、別途書きたいと思います。